“ただいま”の使い方〜北海道帰省を振り返って〜  フィクション…?

19日。
既に零時を回っていた。
「これはもう寝られないなぁ」俺は呟いた。
航空チケットは安いものを捜していた。
予約制のキャンセルが利かないチケットは出発時間が早ければ早いほど安くなるのだ。
7:10発の飛行機に乗るには殆ど始発の電車で向かわなくてはならない。
今回の帰省は、またライブでもやってあぶく銭でも儲けようか…なんて事は考えておらず、完全なる骨休め、そして色々と確認したい事もあったのだ。
着替えとアイディアノートだけをリュックに詰め込んで薄暗い街中を抜けた。
こんな時間にも人というのはいるものだ、しかも、空港に向かうほど、多くなる。
羽田の第2ターミナルというのは初めて降りた。
自動手続き機に予約した紙をかざしたら「この便は欠航です」と出た。
まさかそーんな事はないだろうともう一度かざしても、同じだったのでカウンターに向かう。
機内整備の為という良く分からない理由で欠航したのは分かったがカウンターってのが何処だか良く分からない、2回も聞いてようやくエアドゥのカウンターに辿り着く、まったく広すぎると思う。
「7:35のJAL便に切り替えさせていただきます…JALは第1ターミナルですので…」
案内通りに無料の移動バスで第1ターミナルへ向かい、ひたすら歩く、歩く、ホント広すぎる。
見慣れた第1ターミナルの風景が目に入る。
ようやく時間を見て搭乗するもなかなか離陸しない…。
いつだったか…東京に雪が降った時があった。
「あん時は待たされたもんだなぁ」ふと思い出した。

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飛行機から眺める景色は、4月の後半とも思えないような雪が山岳には残っていた。
「暖冬じゃなかったのか?」
東京が雨で気温が低かったせいか、快晴の女満別空港は思ったよりも寒くなかった。
むしろ、東京よりも暖かい。
この温度で雪が残っている事に妙な幻想感を抱きつつ北見駅からは徒歩で実家に向かった。
北見は郊外に店が乱立している。
パチンコ屋から、なんでも揃う大型スーパーまで、店は何処も野球が出来るほどの駐車場がある。
休日になると市民は車で郊外に遊びや買い物に出かけるのだ。
駅前の商店街は年々、やせ細っていく。
繁華街があるだけと言っても過言ではない。
自分が歩いていても、人が歩いていない、車だけがブンブンと通っている印象を持った。
夕食は身内でお寿司を食べた。
NHKでは北見のニュースをやっていた。
超有名な某ドラマーの親父が画面に出ていた。
漢字で名前が出るとピンと来ないが、なるほど。
知り合いが隣町の選挙に出ているようだ、俺も当然知っている。
「あの医者を知っているか」「あの人物がどうのこうの」
なんとなく、親父の顔の広さがこの日の会話では感じられたのだった。

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20日・21日。
家には猫が4匹と犬が1匹居る。
これでも少なくなった…と、思っていたら野良猫にも餌付けしていて庭で遊んでいる。
犬は朝と夕方に散歩しているというので夕方の散歩を俺がする事になった。
2年ぶりだったので、帰った直後に檻に向かった時は「ワンワン」吼えながら小屋に入っていったが、「姫!」と名前を呼んでやると、耳を伏せ、吼えてしまった事を申し訳無さそうに体勢を低くして出てきていた姫は、母親の散歩コースとは全く違うコースを好き勝手に練り歩く。
「どうせなら」
と、通っていた西小学校を目指した。

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俺の知っている西小学校は無くなっていた。
俺が卒業したときに既に85回…くらいの卒業生だったので仕方も無いと思うが、やはり寂しいものがある。
もう3年位前に立て直したとの事。
通学路もスッカリと変わっている。
当たり前といえば当たり前の話だ。
「住んでいないオマエが悪い」とでも言いたげに、風景は変わってゆく。
ストーブの原料だったコークスを運んだ校舎も無いのだ…
逆上がりが出来なかった鉄棒も。力自慢の同級生が支柱に入って回し、ぶら下がった奴らを遠心力で飛ばしていき、最後に俺が誇らしげに残った名前も分からぬ遊具も。ひとりで編集していた回覧雑誌を「50回まで発行する!」と高らかに宣言したジャングルジムも。
当然無かった。
不良中学生に「オマエ貧乏臭いなぁ」と校庭で言われたアノ風景は、心象に変わった。

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別な日には中学校も見た。
光西中学校はまだあった。
しかし
思い出は出てこなかった。
出てこない訳が無いのだが、恐らく、思い出すのはこの校舎が無くなった時なのではないか?
と、俺は思った。




玉ねぎ畑に隠れてよ、アノ子の登校待っている…
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車道を挟んで一緒に歩く、ほんの一瞬一緒に歩く…
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「中学生日記」より抜粋。


後半へつづく…
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