今日は、エル・おおさかで開催された「テクノファ・フォーラム 大阪」に行ってきました。
3部構成になっていて、最初は「上手な省エネ対策の見つけ方 〜現場は"気づき"を待っている〜」と題してエネルギー管理士の姫井浩明先生の講演でした。
省エネ対策は各社で行っていますが、いわゆる「紙・ごみ・電気」の節約、節電をした後は活動が滞る光景を見かけます。それを脱却するには、そのためのネタである「コンテンツ」を探さなければなりません。コンテンツについては、「省エネルギーセンター」や「クール・ネット東京」のサイトにあるとのことでした。
ただし、コンテンツがわかったとしてもそれを理解した上で能動的に行動していく「コンテクスト」が無ければ差別化は出来ないとのことでした。省エネ対策のコンテクストの実例としてテナントビルや食品工場での対策の紹介がありました。
参加者は百数十人いたのですが、第2部に入って少し帰られた人がいたことからも省エネ対策で悩んでいる方が多いと感じました。

第2部は「リスクマネジメントとしてのメンタルヘルスケア 〜臨床心理士が伝えたい、組織が生き残るためのメンタルケア〜」と題して臨床心理士の井本惠章先生の講義でした。
講演では心身症、自我やイドという言葉が出てきましたが、久しぶりに心理学の授業を聞いた心境でした。ただ、この講演でのゴールがやや不明確で、本当に大学の授業という感じがしました。

そして最後は私が最も聞きたかった講演でした。テクノファの平林良人会長による「MS共通テキスト(附属書SL)5つのキーワードとマネジメントシステムの本質」と題した講演でした。
ISO9001は2015年の改訂予定でCD(委員会原案)が公表されました。今までだと9001ならそのグループが骨組みも作っていましたので、統合マネジメントシステムを構築しようとしてもやりにくい場合がありました。今回、「ISO/IEC 専門業務用指針、第1部」というものでマネジメントシステム規格を作る人向けに手順を示すものが出来ました。その中に「附属書SL(Annex SL)というのがあって、9001であれ、14001であれ、附属書SLの骨組みで規格作成することになりました。ですから、今後例えば9001と14001でそれぞれの対応をしなければならなくなることを減らしやすくなると思われます。
附属書SLですが、日本規格協会のHPに掲載されています。
http://www.jsa.or.jp/itn/pdf/shiryo/iso_supplement_sl234.pdf
上記URLの284ページから303ページが附属書SLになります。
さて、本題の5つのキーワードですが、「組織の目的」、「意図した成果」、「外部及び内部の課題」、「事業プロセス」、「リスクと機会」、「文書化した情報」で結局6つになってしまいました。
まず、「組織の目的」、「意図した成果」、「外部及び内部の課題」の3つは附属書SLの4.1項にあります。「組織の目的」ですが、ドラッガーの本を引用して企業の目的は、それぞれの企業の外にあり、企業の目的の定義は、顧客を創造することであるとのことでした。
「意図した成果」は例えばクレームの減少といったマネジメントシステムを構築、実施、維持することで期待するものとのことでした。
「外部及び内部の課題」は上の「意図した成果」を達成するために解決しなければならない課題(法的要求事項や要員の力量)とのことでした。
「事業プロセス」は目的まで達成するのにどのような道筋で進んでいくかということです。ちなみに附属書SLは品質マニュアルや管理責任者の要求はありません。管理責任者から周知徹底させなくても、各部門長から全員に周知出来れば良いという考え方です。
今後のISOマネジメントシステムは日常業務と乖離したり、審査のためのマネジメントシステムなら価値が無いということで、各業務プロセスにISO要求事項をプラグインするような形になるのではということでした。
「リスクと機会」ですが、ハザードとリスクの話がありました。ライオンというハザードはいても人がいなければ傷害リスクの発生は無いという例から、人が間違えれば(ハザード)どのようなネガティブな事象が起こるか(リスク)のリスクを明確にするということです。なお、附属書SLには「予防処置」は無いのですが、6.1項のこの部分が予防処置に代わるものになります。
最後の「文書化した情報」ですが、今回「文書」や「記録」の要求はありません。可視化してのこるようになっておれば良いということで、道路に描かれている「とまれ」の表示を例に挙げられていました。しかし、その「とまれ」が継時的に消えてしまうと事故が起こるので、消えないような情報の管理が必要と言われていました。
附属書SLはそれ以外にも判断しにくい言葉はあると思いますが、この6つのキーワードが理解できるだけでも、今後これを骨組みにして作られるマネジメントシステムは理解しやすくなるのではないかと思いました。
ブログランキングに登録しました。下記のクリックをお願いします。
人気blogランキングへ

0