2006/1/19

2時間の奇跡  hiro

偶然が重なった。

予定していた打ち合わせの時間が変更。
2時間、時間が空いた。

時計を見る。11時。
ポケットの携帯が震える。
「夜、飲まないか?」
三ノ宮で働く同期から。
「今日、ヤッくんがこっちに来るって言うから、2日も有給取ったんだぜ。
冷たいのお」

私は、関西ではヤッくんと呼ばれている。
声が薬丸に似ているから。
確か、新入社員研修の時から。

「有給は偶然だろ。ちなみに今、どこ?昼でも食べる?」

「おお、ええでぇ。んじゃ、魚崎まで来てくれや」

「え・・」

三ノ宮から阪神電車に乗り、魚崎まで10分ほど。
車で次の打ち合わせ場所まで送ってくれるというので、
魚崎に向かう。

このS君は、清原に似ている。あだ名は社長。

オリックスの清原と、巨人の原が魚崎で半年振りに会う。

「久しぶりやなあ、いつも時間合わんしなあ。
ところで旨いうどん屋あるんや」

「あ・・。昨日、倉敷でぶっかけうどん食った。それよりも・・あ・・」

ここは東灘区だ。

「会いたい人がいるんだ。ちょっと付き合ってくれるか?」

「お!ええでぇ」

アンペーさんがここに住んでいる。
今回の出張は時間の余裕を作っていなかったし、
広島から金沢まで移動しているので、
最初からあきらめていた。

「ところで、住所は?」

「わからん」

「は?」

年賀状忘れた。すっかり忘れていた。
今年の年賀状には「4月から世界一周のクルージングに行く」
と書かれていた。
んーーー。確か、○○町だ。

5分ほど走ると、その地名が見つかる。

コンビニで電話帳を探す。
タウンページはあるが、ハローページは無い。
10分くらいぐるぐる回ると、公衆電話が。
ハローページ発見。
名前を見つけた。
住所も載っている。
こんなとき、個人情報保護ってのは困る。

「近いぞ!」

番地からこの辺だと見当をつけて、クルマを止めて捜索。
団地の端にある家を見つけた。
間違いない。表札にアンペーさんの名前がある。

「俺は待っているから、行ってこいよ」
というS君をクルマに残し、
ベルを鳴らす。

誰も出てこない。

ドアは開いている。
「すいませーん」

すると、中から男性が出てきた。
事情を説明すると、「いらっしゃいますよ。どうぞ」
と、中に案内してくれた。

「アンペーさん!分かりますか?」

「おお!○○君じゃないかぁ!」

8年という時間を超えて、元気なアンペーさん。
照れると舌を出す。変わっていない。
隣にいる男性は70歳の方で、キリスト教の教会のお仲間だそうだ。

すると
「お父さーん。キャベツ100円だったよ〜」
と娘さんが帰宅。

アンペーさんが、
「ヨーロッパの時の添乗員さんが会いに来てくれたよ」
とお話しすると、
「え?!○○さん!」

私の名前を知っている・・。

「父は良く話すんですよ。○○さんのこと。孫の旦那さんにどうかって(笑)
でも、この間結婚が決まりましてね〜。なんでもっと早く来てくれなかったの」

「はぁ(苦笑)」

外で待っているS君を招きいれ、
紅茶を頂く。

私の近況をいろいろ聞いてくる。
私が退職後、何度か会社に問い合わせたらしい。
15日間、確かに同じ飛行機に乗り、バスに乗ったというだけの関係だが、
すごく心配していたと。

アンペーさんと回ったヨーロッパツアーは
観光として毎日、教会を見学する。

ドオモの横で「どーもすいません」
とお客様が言う乾いたギャグが、受けなくなってきた10日目。
「十字架」という物に対し、私は一つの思いが生まれた。
(勝手な考えですので、ご理解ください)

「縦の線は、過去から未来を。横の線は今を表しているのではないか。
その真ん中にいる自分。今。かけがえの無いもの。
過去から今につながっている自分。一人では生きていけない横のつながり。
それを祈る人間。」

確か、そんなことをフィレンチェからローマに向かう途中に
バスの中で話した。
一人の考えとして。
バスの中は暇なので、カンツォーネを歌ったり、
手品をしたりしていた私。
昨日覚えたばかりの観光案内を話しながら、
絶対に間違っている私のキリスト観を話した。
それは、お客様を寝かさないための「つなぎ」としての話の一つとして。

後日、手紙には
「君がバスの中で話したことは
まったく持って正しい」
と書かれていた。

後で知ったのだが、
アンペーさんは、某キリスト系学校のお偉いさまであり、
退職後、趣味の旅行を楽しんでいる人だった。

時間が無くなったので、また会う約束をした。
S君とは、次のアポまで10分しか時間が無いので
南京町で偶然に空いていた老祥記の豚まんを一瞬で食べた。

「ええもん見せてもらったよ。やっぱ旅行会社はええなぁ」
「そうだな」

偶然で出来た2時間。
忘れられない2時間。
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2006/1/26  0:38

投稿者:もっち

アンペーさんは「生まれながら罪人である」という感覚は、日本人には受け入れられにくいとおっしゃてました。
「人と出会うことが旅の魅力」ですね。
別にお金は必要ないですし。

2006/1/25  10:40

投稿者:?

なるほど。全くだ正しいといわれた、キリスト観を少し聞いて見たいなぁとおもったよ。
旅行って、いろんな人と出会えてそれが、旅人というのがなんだかすばらしいなぁ。


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