2017/7/15

一宮市三岸節子記念美術館「丸木スマ展」ギャラリートーク  館外展・関連企画

『朝日新聞』名古屋版朝刊に、一宮市三岸節子記念美術館「丸木スマ展」の全面広告特集が掲載されました。

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午前中には、本橋成一さん、助手のOさん、IZU PHOTO MUSEUMのO副館長をその「丸木スマ展」へご案内。
展覧会をじっくりご覧頂いた後、奈良市写真美術館で開催中の「本橋成一展」に向かう皆さんをお見送りして、午後2時からはギャラリートークに出演。お集まり頂いた方々といっしょに会場をまわりながら、丸木スマの絵についてのお話をしました。

本当は、スマさんの絵を「解説」するのは難しいので、皆さんといっしょに驚いたり笑ったりしながら、「いいですねえ」なんて言ってまわりたいのだけど、まあ、なかなかそういうわけにもいきません。
とはいえ、講演ではなくギャラリートークなので、絵の前で気軽に質問などもして頂き、そして結局、やっぱり「いいですねえ」と笑いあったりしながら、たっぷり1時間半。皆さん最後までお付き合い下さり、お楽しみ頂けたようで、良かったです。

お客さんからの質問は、もっぱらスマさんの絵の素材・技法など表現に関するものが多かったのですが、最後の質問は「一番好きな絵は何ですか?」というものでした。
質問された方は、展覧会のメインイメージになっている《田楽》がお気に入りとのこと。
「それでは私は、せっかくなので丸木美術館の所蔵作品から選びましょうか・・・」と悩みつつ、《村の夕暮れ》を選びました。山の向こうに夕日が沈む、小さな村の風景を描いた作品です。
スマさんにしては比較的普通の「風景画」ですが、この絵の風景の中で、たしかにスマさんが暮らしていた、という実感が伝わってきます。

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数年前、丸木家の人たちが暮らした場所を知りたいと、故郷の飯室(現在の広島市安佐北区)に通ったことがありました。
3度目にようやく、かつて丸木家のあった跡にたどり着くことができたのですが、しかし現在の風景は、100年前とは違っていました。もはや絵の中にしか、スマさんの生きた世界は残っていないのだ、と思いました。

それは残念なことですが、一方で、社会の必然でもあるのでしょう。現代社会を生きる私たちが、仮にスマさんの絵のような暮らしに回帰したとしても、満たされるとは限りません。
それでも、「進化」や「発展」だけが唯一の選択肢ではない、私たちには別の生き方を追求できる可能性もある、と気づくことは、世界を見るまなざしをより複雑に、豊かに広げてくれるようにも思います。
最後にそんなようなことを話して、ギャラリートークは和やかに終わりました。
楽しい時間でした。

お世話になった三岸節子記念美術館のスタッフの皆さん、数年前から「丸木スマ展」の準備を一緒に進めながら直前の異動となってしまった一宮市立博物館のS学芸員、そしてご来場下さった大勢の方々に、心から御礼を申し上げます。
展覧会は8月13日まで続きます。近隣の皆さんは、どうぞお見逃しなく。
7月29日には、奥田元宋・小由女美術館学芸員の永井明生さんによる講演会「生命讃歌ー丸木スマの宇宙」も行われます。
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