2017/3/16

映画『息の跡』/松澤宥展  他館企画など

ポレポレ東中野で小森はるか監督の『息の跡』を観ました。
陸前高田で種苗店を営みながら、津波の体験を英語や中国語で綴り自費出版する佐藤貞一さんの姿に迫ったドキュメンタリ映画です。

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災害の後で被災地に移り住んだ若者が、そこで出会った人びとと寄り添うように暮らしながら、カメラでとらえた日常の記録。
あるいは、美術大学に通い、最先端の現代美術を学んだ作家が、ものをつくり、残すことの原風景に出会う作品とも読めます。

以前に、ギャラリー「路地と人」での瀬尾夏美さんと小森さんの二人展「遠い火|山の終戦」展を観ました。
そのときの展覧会と共通しているのは、現実に起きた出来事に直接近づくのでなく、記憶を語り伝える人の言葉を受け取り、静かに手渡す、という姿勢。
震災・津波という厳しいテーマにもかかわらず、撮る側と撮られる側の間の距離感が絶妙で、ゆるやかな空気が観る人にも伝わって、この映画の評価を高めているのだろう、と思います。

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映画の後は、六本木のオオタファインアーツで、嶋田美子さんのキュレーションによる資料展「ニルヴァーナからカタストロフィーへ−松澤宥と虚空間のコミューン」を観ました。

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松澤宥は、日本におけるコンセプチュアル・アートの先駆として知られます。
私が松澤宥を知ったのは、2001年に針生一郎館長の呼びかけで開催された「Oh No!報復戦争反対詩画展」

原稿用紙に短い詩のような文章が書き記された作品が送られてきて、美術館のみんなで「これは何?」「現代美術の作品らしい」「どうやって展示すればいいの?」と戸惑っていたことを思い出します。
それからときどき名前を聞いたり、美術館の展示を観たりするたびに「あ、松澤宥」と気にしていたのですが、彼の概念芸術や「フリーコミューン」などの先鋭的な思考をきちんと理解しているとは言い難いところ。

展覧会は、嶋田さんが松澤邸やヨシダ・ヨシダ邸で積み重ねてこられた調査を生かした内容で、資料展示といっても、インスタレーションのような緊張感のある空間になっていました。
展覧会に合わせて刊行された資料の豊富な書籍も購入したので、じっくり読んでいきたいです。
会期は4月22日まで。

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その後は銀座のGallery Nayutaで開催中の「吉田重信展」も観ました。
いわきで活動されている画家の「臨在」シリーズ。
青の輝きは臨界の光でもあり、希望の光でもあるようです。
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