2014/4/7

国立新美術館/森美術館/加藤登紀子「広島 愛の川」レコーディング  他館企画など

休館日。
六本木の国立新美術館で「イメージの力 国立民族学博物館コレクションにさぐる」展「中村一美展」の二つの展覧会を見た後、森美術館の「アンディ・ウォーホル展 永遠の15分」へ。

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「イメージの力」展は、世界各地の仮面や神像、織物や祭事物など国立民族学博物館の選りすぐりのコレクションを展示して、人間の持つ想像力の豊穣さを提示する企画でした。
たとえば、秋田の「ナマハゲ」の面とともにバリ島の仮面舞踏劇の面やメキシコの悪魔の仮面などがところせましとならび、遠野の「オシラサマ」と同じ空間にインドの精霊像やミクロネシアの祖先像が立つといった具合。
ほとんどの作品が作者不詳なのですが、だからこそ、「美術」という仕組みを吹き飛ばしてしまうような、エネルギーとイマジネーションに満ちた展示になっていました。

興味深かったのは4章「イメージの翻訳」の「ハイブリットな造形」の項。
強さの象徴として英国旗ユニオンジャックを引用したガーナ・ファンティ族の「アサフォ結社の軍旗」や、オランダ軍の図柄を用いたジャワ島のバティック、あるいはビール瓶のかたちをしたガーナの棺桶など、良くも悪くもグローバル化した近現代の社会の文化交流の中から生まれてきた造形物には、人間の想像力・表現力が社会の動きと決して切り離せないこと、そして、政治よりずっとしたたかに、世界に開かれつながっていくということを考えさせられました。

「中村一美展」は、以前から気になっていた画家・現代美術家の中村一美(1953-)の絵画の全貌が紹介された好企画。
戦後世界を席巻したアメリカ抽象表現主義絵画の研究から出発し、しかし、表層的な表現の問題に閉じ込もることなく、「絵画の社会性」(展覧会出品リストの文章を引用すれば、「資本主義市場経済システムとナショナリズムや宗教の対立が複雑に絡み合い、人間関係が苛烈化していくこの世界を表象し、批判する絵画構造の実現」)を深く思考し、実現させてきた絵画表現の変遷が、非常によくわかる見応えのある展示でした。

「アンディ・ウォーホル展」は、20世紀を代表するポップ・アートの旗手アンディ・ウォーホルの表現を、約700点の作品と資料で総覧する大規模な回顧展。
さすがに会場には、国内外のさまざまな世代の来場者があふれ、たいへん盛況でした。
オリジナリティや大量消費社会など、ウォーホルが捉えていた20世紀の問題意識は、「イメージの力」展に見られる世界各地の造形表現とも逆説的につながっていくように思えました。

   *   *   *

展覧会を見た後は、乃木坂のスタジオで、加藤登紀子さんの公開レコーディングと記者会見に参加しました。

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漫画「はだしのゲン」の作者・中沢啓治が平和への願いを記した「広島 愛の川」という詩に曲をつけ、今夏にCDとして発売するのです。

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慣れないスタジオに紛れ込んでレコーディングに立ち会い、記者の方々といっしょに慌ただしく移動し、加藤さんや中沢さんの妻・ミサヨさん、作曲家の山本加津彦さんを囲むという、ちょっと緊張する体験。
会見の際に加藤さんが話された次のコメントが印象的でした。

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「もっと早くに戦争を終わらせていれば原爆が落ちなかったという口惜しさ、私たちがどういう歴史の上に今を生きているのか、そして3.11――福島を体験して、なぜ原発を許してしまったのかという思いを伝えたい。
 今、『はだしのゲン』が図書館から撤去され、国全体が歴史を捻じ曲げようとしている。私たちが中国・韓国に対して何をしたのかという歴史を見て正確に受け止める強さを若い人たちには持ってほしい。
 湾岸戦争のとき、アメリカのカーネギーホールで公演をしていたが、アメリカの記者から『広島を経験した日本人としてアメリカに言いたいことがあるのではないですか』と聞かれてはっとした。世界からは、日本のアイデンティティとして“広島からの視点”が求められている。私たちはそれだけの思いをもって、広島を見つめてきただろうか」

「広島 愛の川」のCDは6月末に発売予定。
丸木美術館では今夏に『はだしのゲン』絵本原画の特別展示を予定していることもあって、加藤登紀子さんにご来館いただくイベントも交渉中です。
うまく話がまとまれば、後日に詳細をご案内いたします。
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