2014/3/10

『遺言 原発さえなければ』/安藤栄作彫刻展/織田千代展  他館企画など

休館日。3年目の「3.11」を前に、ポレポレ東中野へ豊田直巳・野田雅也監督のドキュメンタリ映画『遺言 原発さえなければ』を観に行きました。

2011年3月11日に発生した東日本大震災の翌日から現場に駆けつけ、以来、圧倒的な時間をかけて取材を続けてきたフォトジャーナリストの豊田直巳さんと野田雅也さん。
250時間に及ぶという記録映像を、3時間45分に凝縮(それでも通常の映画2本分の長さなのですが)しています。

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土日は上映開始1時間前にチケットが完売、急きょ第2会場を増設しても入場できない状況だと聞いていたのですが、この日も平日にもかかわらずチケットは早々に完売。
新聞に大きく取り上げられた影響と思われますが、映画をご覧になる方は早目に整理券を確保することをお勧めします(3月14日まで、連日12時20分上映開始)。

   *   *   *

映画は、福島原発事故発生後、高濃度の汚染が明らかになっていく飯舘村を中心に、酪農などを営んできた住民たちがどのように事実を受け止め、悩み、苦しみ、土地を追われ、新たな暮らしに向かっていった(あるいは希望を失い、自らの生命を絶った)のかを、「汚染」「決断」「避難」「故郷」「遺言」という5つの章に分けて丹念に記録しています。

この日、ゲストトークとして壇上に立った映画監督の森達也さんは、「ドキュメンタリは人格。この映画は誠実な作品。メッセージではなく、まず人を見ている。人を見ながら考えている」とおっしゃっていましたが、本当に、豊田さん、野田さんのこれまでの国内外の豊富な取材経験によって培われてきた人に寄り添う姿勢が存分に生かされている作品だと思いました。

外からやってきたジャーナリストが被災地を“記録”するとはどういうことか。
そして、その記録を見る私たちが“記憶”するとはどういうことか。
そうしたことを考えさせられる3時間45分でした。

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映画は、飯舘村前田行政区区長で酪農家の長谷川健一さんを主人公に、彼の周辺の仲間たちが紹介されていくのですが、個人的には、昨年春に原爆文学研究会で訪れた福島市のミネロファームでお話を伺い、その後、丸木美術館にもお招きした酪農家・田中一正さんの足跡が記録されていたことを嬉しく思いました。

私はこれまで田中さんから二度ほどお話を伺っていたわけですが、なぜ福島にこだわり、福島に戻って酪農を再開しているのかという彼の思いに、本当の意味で想像力が届いていなかったように思います。
それが、この映画によって、飯舘村で被災した当時からの彼の“記憶”のほんの一端を共有させてもらったことで、「自分だけが別の土地で立ち直ってもそれは“復興”ではない。福島のみんなが“復興”するために力を尽くしたい」という思いが、初めて身体感覚で伝わってきたような気がしました。

映画のタイトルにもなった「原発さえなければ」という遺言を残して命を絶った相馬市の酪農家のお姉さんが、現場を視察に来た国会議員に「誰に向かって言っているかわかりますか、国、国会ですよ!」と思いをぶつける場面。
酒を飲み交わしながら、「自分には何もできない・・・」と絶句し涙を流す豊田さんに対し、長谷川さんが温かくも鋭い言葉を投げかける場面。
忘れがたい場面が、何度も出てくる映画でもありました。

連日の盛況を受けて、急きょ新たな上映情報も入ってきています。
ぜひ、この機会に、多くの方にご覧いただきたい作品です。

緊急特別上映「なかのゼロ」視聴覚ホール(ポレポレ東中野の前売り券で入場できます)
3月15日(土) 第1回 午前9時〜午後1時 第2回 午後1時〜5時
http://www.nicesnet.jp/facility/zero/index.html

緊急レイトショー ポレポレ東中野 
3月22日〜28日 午後7時〜11時 

   *   *   *

『遺言』を見た後は、ポレポレタイムス社に顔を出してスタッフの皆さんに挨拶した後、銀座のギャルリー志門ではじまった「安藤栄作彫刻展 ―AFFECTION―」(3月22日まで)へ。
昨年春に丸木美術館で個展を開催して下さった安藤栄作さん。今回の個展のタイトル、AFFECTIONは、「人、ものに対する穏やかで持続的な愛情、好意」という意味で、「震災後、時が経った今こそ、人や自然や物や状況に穏やかで継続的な愛情が必要な時だ。そんな想いを鳳凰を中心にギャラリー空間に放ってみたい」という気持ちが込められています。

《鳳凰》、《光のさなぎ》などの彫刻作品、そして壁面を埋め尽くすさまざまなドローイング(そのなかには、福島原発事故を描いたものもありました)。
『遺言』に登場する飯舘村の住民たちと同じように、土地を離れ、福島を思い続けながらも新しい道に向かって立ち上がっている人がここにもいるのだと思いながら、展示を拝見させていただきました。

安藤さんは4月にも兵庫県のギャラリーあしやシューレで、丸木美術館の展示の関西版ともいうべき、「光のさなぎたち」の個展を予定されています。初日の4月12日には、安藤さんと岡村の対談も行われます(後日詳報)。

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その後、安藤さんにご案内いただき、同じ福島県いわき市の織作家・織田千代さんの個展「Fiber Works もうひとつの場所で」(3月16日まで)を見に、銀座一丁目・奥野ビルのGallery Camelliaへ向かいました。

自然の素材を用いながら、立体的な織作品を手がけてこられた織田さんの、3.11以後「目に見える風景は以前と変わらないのに、まるでネガとポジほど違うものに感じられる」という思いが込められた近作展示。
こうした展示を見るにつけ、福島がいかに自然に恵まれた土地であったか、そして自然にかかわりながら生き続ける人が多くいた土地であったかを考えさせられます。
そうした場所こそが狙われて、原発が建設されていくことに(あるいは、辺野古に米軍基地が移設されようとしていることも連想しますが……)、虚しさを覚えます。

そんなわけで、この日は、福島に関連する作品を見ながら都内をまわる一日になったのでした。
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2014/3/11  21:18

投稿者:保守的な男

東北の方々は気を悪くするかもしれませんが(以前は、東北出身の事務員の方に不快な思いをさせてしまい、大変申しわけありませんでした)総務省や厚生労働省の調査によると、東北6県はいずれも自死率が高いとのことです。ですから、自死防止のためのカウンセリングが重要だと思います。
産経新聞も、先日の記事で被災地の自死問題を取り上げていました。

そういえば、10人兄弟貧乏アイドルの上原美優ちゃんが、「福島の草は最高に美味しい」と言っていました。
私は山菜を採って食べるのが好きですが、ぜひ福島の山菜を食べたいです。

東北の自死率が高いのは、東北の方々が真面目だからです(東北は犯罪発生率がとても低いです)。


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