2013/12/15

【一日広島旅行】旧日本銀行広島支店Chim↑Pom「広島!!!!!」展  調査・旅行・出張

早朝/深夜の飛行機日帰りで、広島まで飛んできました。
「被爆建物」でもある旧日本銀行広島支店で開催中のChim↑Pom「広島!!!!!」展を、ぜひ観ておきたいと思ったのです。

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午前10時、開館直前の旧日本銀行広島支店に到着。
丸木美術館のChim↑Pom展のときにも正面入口を飾っていた《Red Card》が、今回も看板として展示されています。

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今回の展示のメインは、八羽の《リアル千羽鶴》と対比するように配置した新作《PAVILION》。広島市に全国から送られた大量の折鶴をピラミッドのように積み上げ、裏手からはまさに“玄室”のように折鶴の山の中に入っていける、という展示です。

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それにしても、折鶴の山の物質的な存在感には、近くによると圧倒されます。
いっしょに展示を見た原爆文学研究会のKさんは、「これを最後に燃やしたらどうだ」とカゲキな発言。たしかに、広島市が長年折鶴の処遇に頭を悩ませているという話は、これまでにも何度も伝え聞いています。折鶴の山は、軽々しく廃棄できないという意味で行き場を失った“思い”の塊の、まるで“中間貯蔵施設”のようにも見えました。

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午後2時からは、詩人のアーサー・ビナードさんとChim↑Pomのリーダーの卯城竜太くん、稲岡求くん、そして途中から参加したエリイちゃんのトークがありました。
相変わらず辛口で、鋭い言葉を投げかけるアーサーさん。
それに答える卯城くんも刺激的な答えを連発し、真剣勝負の興味深いトークになりました。

とりわけ興味深かったのは、“折鶴”にも関連するのですが、“平和”という問題につきまとう予定調和の物語の問題。
Chim↑Pomが2008年に騒動を引き起こした作品《ヒロシマの空をピカッとさせる》について、「物議を醸した」ではなく「本質をあぶり出した」と評価するアーサーさんが、原爆をテーマにすることを平和を訴えるという物語に回収しようとするメディアの先入観に違和感を覚えるという卯城くんの話を受けて、「作品にメッセージを込めてはいけない。平和を訴えるのではなく、作品が観る側の思考停止状態を刺激して、そこからそれぞれの人が考えてはじめてメッセージが生まれる」と応えていたのが印象的でした。

また、千羽鶴のもとになった佐々木貞子さんが折った折鶴を「とても美しい」と評価するアーサーさんは、貞子さんの折鶴には自分の病気を治したい、つまり「生きたい」と思って作った「美しさ」があるのに対して、「平和のため」の千羽鶴は、実は意味が飛躍していると、そこに生じる“形骸化”を鋭く批判する発言もされていました。

個人的な話ではありますが、《原爆の図》について館内説明をする際に、一度も“平和”という言葉を使わず、つまり“予定調和の物語”に頼らずに、《原爆の図》をどう新鮮な視点で語れるか、発見できるか、ということを考え続けている身としては、非常に刺激を受けたトークでした。

「Chim↑Pomの凄いところは、まったく考えていない(ように見えて、本当は考えていると思う)けど、本質を当てちゃうところ」というアーサーさんの指摘に、あらためて頷く思いがしました。

   *   *   *

展覧会は、旧日本銀行広島支店という意味深い建物に、これまでのChim↑Pomの広島・福島の作品をすべて集めたという点で、やはり見応えのあるものでした。
そのなかで、終始辛口だったKさんが「本物を見るのは初めてだったけど、やはり、この作品は面白い」と反応したのは、地下金庫に投影された《ヒロシマの空をピカッとさせる》。

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淡々と原爆ドームの上空に飛行機雲が「ピカッ」という文字を描く場面を映し出す、Chim↑Pomには異例とも言える非常に単調な映像作品ですが、やはり彼らの持ち味は、街のなかでゲリラ的に発揮されるのかも知れません。

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一旦会場を出たときに、原爆ドームを川の対岸から眺めてみました。
そして、対岸に原爆投下前の広島県産業奨励館の写真がモニュメントとして設置されていることに初めて気づきました。
古写真と現在の光景を対比して見ることができるように設置されています。

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このアングルは、Chim↑Pomの《ヒロシマの空をピカッとさせる》と同じアングルである、ということにも気づきました。
もちろん、この日の上空には、「ピカッ」という文字は描かれていませんでしたが、不在によって作品の存在を思い起こさせる、というのもまた、Chim↑Pomの手法でもあるわけです。

「原子爆弾」を「上から降ってきた言葉」と捉えるアーサーさんが、「ピカ/ピカドンは、原爆を落とされた広島の人びとが自分たちで名づけた、下からの言葉」と指摘し、「そのピカという言葉を選んで広島の空に描いたところがChim↑Pomの凄さ」と語っていたことを、あらためて思い起こしています。
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