2013/8/31

和泉舞独舞公演「原爆の図 第六部 原子野」  館外展・関連企画

夕方6時半から、町田市の勝楽寺にて、和泉舞さんの独舞「原爆の図 第六部 原子野」を鑑賞しました。

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和泉さんは、原爆の図全15部作の舞踏化をライフワークにされている舞踏家です。
一昨年、「3.11」を機に、6年ぶりに第4部「虹」の公演を行って以来、今回が3年連続の公演となります。

和泉さんの舞踏は、丸木夫妻の共同制作をベースにしながらも、多くの方の原爆体験に耳を傾け、資料を読み込み、それらのなかから浮かび上がる物語を抽象化して身体表現に結びつけています。光や音を効果的に使いながら、舞踏としては物語性を感じさせるつくりになっているのも特徴です。
しかし、今回の《原子野》は、原爆の図のなかでも、とりわけ物語化の難しい作品だったのではないかと思います。
何しろ描かれているのは、原爆によって破壊され、何もかもなくなってしまった「原子野」の虚無。黒い墨が何層にも重なって、深い闇を表現しているのです。

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第1幕 原子野
第2幕 差別・フラッシュバック
第3幕 祈り仰ぐ空に星光り

3幕で構成された舞踏は、琵琶と三味線・フルートの生演奏が効果的に使われていました。
全身を焼かれた女性が襤褸のような衣服をまとって彷徨い歩く様子を表現した和泉さんの舞踏も、いつもながら真に迫るものでした。

原爆投下から7年後の1952年に描かれた原爆の図第6部《原子野》は、「広島は、今でも人の骨が地の中から出ることがあるのです」という言葉が添えられているとおり、画面左側の白骨の描写によって、「原爆の図」シリーズのなかで初めて、現在(描かれた時代)と過去(原爆投下)、という二つの時間が表現された作品でもあります。
和泉さんは、そうした複数の時間の重なりをさらに広く拡大させ、「3.11」後の視点――広島・長崎から福島への連続性を今回の舞踏のなかに取り入れていました。

また、「原子野」という地上の闇からはじまり、最後に視線を引きあげて、夜空という闇に輝く星(宮澤賢治作詞作曲『星めぐりの歌』)で幕を閉じるという構成にも、工夫を感じました。

和泉さんご本人による報告は、WEBマガジン「地の木々舎」の、和泉さんと岡村の往復書簡の第105号(2013年9月上期編成分)に掲載されていますので、どうぞご覧下さい。
http://chinokigi.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-10
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