2013/5/25

ちひろ美術館「手から手へ」展  他館企画など

夕方、ちひろ美術館・東京で開催中の「手から手へ」展を見てきました。

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この企画は、スロヴァキア在住の絵本作家・降矢ななさんの呼びかけにより、「3.11後の世界から私たちの未来を考える」というテーマで、日本、スロヴァキア、ヨーロッパ諸国からの絵本作家を中心とする有志たちが参加して開かれた展覧会です。
2012年3月にイタリアのボローニャで最初の展覧会が開催され、その後、ブラティスラヴァ、ワルシャワ、アムステルダム、コペンハーゲンを巡り、日本国内の巡回展へとつながりました。すでに安曇野ちひろ美術館で3月から開催されていたのですが、この5月22日から、東京展としてちひろ美術館・東京の展示がスタートしたのです。

出品者は、降矢さんをはじめ、西村繁男、山福朱実、木坂涼、アーサー・ビナード、荒井良二、あべ弘士、いわむらかずお、片山健、黒田征太郎、酒井駒子、田島征彦、田島征三、田畑精一、長谷川義史、浜田桂子、和歌山静子、内田麟太郎など、など、など……お名前をあげていけばきりがありませんが、降矢さんが「作家の思いが込められた力のある表現を展示したい」とおっしゃっていたように、とても見応えのある作品が並んでいました。

   *   *   *

午後5時半からは、『“手から手へ展”のはじまりと、これまで。そして、これから』と題して、降矢ななさんの講演会が開かれました。聞き手は、絵本研究家・絵本作家の広松由希子さんです。

「3.11」の知らせをスロヴァキアで聞いた降矢さんは、日本と海外の原発事故に対する反応のあまりの違いに驚き、また、自分自身のなかでチェルノブイリ原発事故の記憶が薄れていたことにも気づき、絵本に何ができるのかを悶々と考えていたそうです。
そんな中で、数多くのチャリティ展に声をかけられ、「ただ参加すればいいという質の低い展示ではなく、絵本作家の表現の力が見せられる展覧会を自分でも企画したい」と思い立ち、多くの友人たちに支えられながら走り続けてきたとのこと。
スライドで見せて下さったヨーロッパ各地の展覧会の様子は、たしかに手づくりの温かさにあふれ、とても魅力的に感じられました。

降矢さんの絵本は、わが家でも『めっきらもっきらどおんどん』や、「やまんばのむすめ まゆのおはなし」、「ちょろりん」シリーズなどがとても人気で、そのちょっと不思議な雰囲気の作風から、私はひそかに降矢さんのことを「異世界を自由に行き来できる“魔女”に違いない」と敬意を抱いていたのですが、この展覧会の成功を見る限り、やはり降矢さんには“魔術的能力”が備わっているように思われました。

印象に残ったのは、降矢さんが、「ふだん発言をほとんどされない、酒井駒子さんのような静かな方が、こちらが驚くようなはっきりとしたメッセージを寄せて下さったことが、嬉しかった」とおっしゃっていたこと。
酒井さんの絵は、いつもの酒井さんらしい静謐な作品でしたが、メッセージには「本当に私たちは間違っていました。原子力発電をやめなければいけません」と、短く、きっぱりと書かれていたのです。

講演会の後で、ちひろ美術館の学芸員の皆さんに挨拶をしつつ、降矢さんに絵本『イソップのおはなし』(文章は詩人の木坂涼さんという素晴しいコンビ)にサインを頂きました。
穏やかな笑顔の降矢さんは、こちらが勝手に描いていた“魔女”のイメージとは少し違いましたが、しかし、その温かい人柄に、あらためてファンになりました。
展覧会は8月4日まで開催中です。
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