2013/3/10

『北海道新聞』「異聞風聞」に壷井明《無主物》掲載  掲載雑誌・新聞

2013年3月10日付『北海道新聞』2面「異聞風聞」欄に、編集委員の大西隆雄さんが“福島の悲しみと希望の絵”との見出しで、現在特別展示中の壷井明さんの絵画《無主物》が紹介されました。

1枚の絵が現実よりも雄弁に「現実」を語るときがある―。

という書き出しではじまるコラムには、壷井さんが絵を描きはじめたきっかけや、絵画の具体的な内容が丁寧に紹介されています。
「異聞風聞」は活字のみのコラムなのですが、今回は壷井さんの絵の一部、子どもたちが風船を手に飛び立っていく場面などが掲載されています。大西さんによれば、これは例のないことだそうです。それだけ、大西さんが《無主物》に思い入れを抱いて下さったのでしょう。

壷井さんのインタビューを交えたコラムの後半部分を、以下に抜き出して紹介いたします。

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 どんな思いで描いたのか。壷井さんに会うと、こう言った。
 「被ばくという人間の犠牲。それなしには成り立たない原発の根源的な仕組みと莫大な富の独占――。そうした不公正の構造と、同時に、そこからの脱却も描きたかった。祈りのようなものを表現したかった」
 風船をつかむ子供は祈りを象徴する。被ばくを逃れ、安全な場所へ。わが子の肩を押して、風船をつかませようとする母親も描いた。だが、風船の行き先は―。絵の問いは、原発のある社会に生き、恩恵を受けながら、被害を一部の人びとに押し付ける私たちにも向いている。

 この絵は、未完である。作者が福島に通い、そこで聞いた話を描き加えているからだ。いつ完成するとも知れない絵は、大震災と原発事故から2年を経て、苦闘する福島を写している。
 「自分の絵が、いま起きていることを考えるきっかけになればいい。絵に興味のない人や、若い人に見せたい。だから路上に置くんです」
 絵を展示中の丸木美術館は、北海道が生んだ反戦画家・丸木俊が、夫の丸木位里と建てた。夫妻の「原爆の図」は広島の惨禍を描いた大作だ。同美術館の岡村幸宣学芸員は「丸木夫妻は全国の巡回展で聞いた被爆者の声を連作に注ぎ込んだ。壷井さんも福島の被災者の言葉に耳を傾け、想像力を介して現実以上に現実を描き取った」。
 福島は、福島の人びとは、どうなるのか。壷井さんに尋ねると、次作のイメージに託してこう語った。―福島の人びとは、この国の扉を開く鍵を持っている。誰も手にしたことのない鍵だ。無数の鍵穴にそれを差し込み、次の時代を開いていける。筆者もそれを願う。


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いつも素晴らしい記事を書いて下さる大西さんに、心からお礼を申し上げます。
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