2013/1/19

映画『肉体の門』と《原爆の図》  作品・資料

元学芸員Mさんからご教示頂いて初めて知ったのですが、1964年公開の映画『肉体の門』(鈴木清順監督、日活)のタイトルバックに、丸木夫妻の《原爆の図》をもとにしたイラストレーションが使われています。

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『肉体の門』は、田村泰次郎の戦後日本最初のベストセラー小説を原作とする映画で、1948年をはじめに、これまでに計4回映画化されています。
1964年はそのうち2回目の映画化で、美術監督は日本を代表する美術監督・木村威夫がつとめました。

映画の冒頭で使われる8点のイラストレーションは、丸木夫妻の筆によるものではありませんが、明らかに《原爆の図》を意識して描かれています。

たとえば、下のイラストレーションは、第3部《水》の画面左端に描かれた積み上げられた死体の山をモチーフにしていると思われます。

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また、下のイラストレーションは、第4部《虹》に描かれた爆風で木の枝に引っかかって宙吊りになった人間のイメージが使われています。

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そして決定的なのは、第5部《少年少女》の抱き合う少女像。
これは《原爆の図》を代表するイメージのひとつと言えるでしょう。

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著作権の概念が現在ほど確立されていなかった当時のことですから、丸木夫妻の許可を得て使用されている可能性は低いだろうと推測するのですが、今となっては、どういう経緯で『肉体の門』に原爆の図のイメージが引用されたのか、調べることは難しそうです。

敗戦後の焼跡を舞台に繰り広げられる米兵相手の娼婦たちの物語。
原爆の話が直接出てくるわけではないですし、戦争の傷の象徴、そして「エロティックな肉体描写」という点で、タイトルバックのイラストレーションに採用されたというところでしょうか。

《原爆の図》が映画に使われること自体は決して珍しいわけではないのですが、こうした文脈で引用された例はほかに見たことがなく、もし当時の事情をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ丸木美術館までご一報ください。
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