2012/9/13

紀伊國屋画廊「増田常徳展」/ポレポレ坐「怒る犬」展  他館企画など

午後、紀伊国屋画廊で開催中の増田常徳展「不在の表象」(9月25日まで)を観てきました。

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増田常徳さんは、1948年に長崎県五島列島に生まれた油彩画家で、今回は、昨年3月11日の原発事故であらわになった不条理な社会のあり方、国や電力会社への憤りを表現した作品《不在の表象―浮遊する不条理》や、鎮魂の思いを込めて震災津波後の風景を描いた大作《浄土ヶ浜》などが展示されていました。
ちょうど会場には増田さんご夫婦もいらっしゃって、少し雑談をすることができました。

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続いて、11月23日(金/祝)から来年1月19日(土)まで丸木美術館で開催する本橋成一写真展「屠場」の打ち合わせのために、東京・東中野のポレポレタイムス社へ。
大阪・松原の新旧屠場で働く人びとを約30年に渡って記録した貴重な写真の数々。
今年6月には銀座ニコンサロンでも展覧会が開催され、私も観に行きました。
http://fine.ap.teacup.com/maruki-g/1900.html
本橋さんもお元気そうで、初日の23日にはスライドトークも行って下さることになりました。
これから、ポレポレタイムス社スタッフのOさんといっしょに、チラシや会場レイアウトの作成など準備を本格的に進めていくことになります。

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ポレポレ坐では、現在、黒田征太郎「怒る犬 MAD DOG」展を開催中。
「原爆を落としたのは誰だ」「あやまちを繰り返すのは誰だ」と、たくさんの犬が吠えている、一見ユーモラスながら黒田さん自身の核への怒りがあふれている同名の絵本(岩波書店刊)の原画展です。

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午後7時からは、元目黒区美術館学芸員の正木基さんをナビゲーターに、黒田さんをゲストにお迎えして、上映+トークイベント「黒田征太郎アニメーション史」が開催されました。
佐喜眞美術館や第五福竜丸展示館と関わりの深い黒田さんですが、個人的にはお会いするのは初めてなので、トークの前にご挨拶。イメージ通り、とてもまっすぐで気持ちの良い印象の方でした。

野坂昭如さんの『戦争童話集』を黒田さんがアニメーション作品にしていることは聞いていましたが、実際に映像を観るのは、この日がはじめてでした。
正木さんのセレクションによる『凧になったお母さん』と『八月の風船』の2本は、アニメーションと聞いてすぐに思い浮かぶような、コマ送りで絵を動くように見せるものではありません。
黒田さんが描きまくる画面全体を、炎などの効果も用いて、本質から揺さぶり動かしてしまう、衝動的な作品です。
皮膚からじりじりと戦争の痛みが伝わってくるというのか。
ともかく凄いものを観た、と圧倒されました。

黒田さんは人間が火を手に入れた歴史から原発の過ちまでをたどりなおす『火の話』(2011年12月、石風社刊)という絵本も手がけています。
「人のために何かをしたいとは思わない」
「人は人を救えない」
と突き放した言葉を口にしながらも、人間(に限らず、生きものたち)の痛みに鋭く反応し、思考するよりまず本能的に表現する黒田さんの仕事を、あらためて見つめなおしてみたいと思わせる濃厚な時間でした。

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また、この日は、正木さんに紹介されて、写真家の平野正樹さんに初めてお目にかかりました。
冷戦後のボスニア・ヘルツェゴビナで弾丸の壁痕を撮影した連作《HOLES》など、興味深い作品を作り続けていらっしゃる方です。
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