2012/9/7

足利市立美術館「木下晋展」内覧会  他館企画など

午後、東松山市職員のKさんと人権擁護委員のMさんといっしょに、足利市立美術館の「木下晋展 祈りの心」内覧会に行きました。

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10Hから10Bまでの鉛筆を駆使して、過酷な運命を生き抜いた人間が醸しだす深みを、他に類例のない精密な写実描写で表現する作品で知られる木下晋さん。
今年5月にNHK教育テレビの「日曜美術館」で特集されたこともあって、内覧会には大勢の方が来場していました。

私がはじめて木下さんの作品を知ったのは、盲目の瞽女・小林ハルさんを描いたシリーズでしたが、今回の展覧会は、その後の木下さんのモチーフとなった元ハンセン病患者の詩人・桜井哲夫さんや、東日本大震災後に描かれた合掌図などで構成された、たいへん見応えのある、そして心を打たれる内容でした。

内覧会では、木下さんがみずから会場をまわりながら、丁寧に解説をして下さいました。
心に残ったのは、木下さんが「絵を描きたいというより、関心のある人間に会いたい」とおっしゃっていたことでした。
小林ハルさんにしろ、桜井哲夫さんにしろ、あるいはその他の人たち(認知症になった知人の母親や、谷崎潤一郎の『痴人の愛』のモデルになった女性、洲之内徹、宮大工の職人、ホームレスの男性など)も、木下さんは「描いた人との出会いはすべて偶然」と語ります。
けれども、その人の中にある、人間としての深みがなければ、「描きたい」という気持ちにはなれないそうです。
たとえば、白洲正子さんとは、家が近かったということもあって、ずいぶん親しくしていたそうですが、「悪いけど白洲さん程度の生き方では描きたいとは思えないんですね」と涼しい顔で語る木下さん。聴衆には思わず微笑が広がっていました。

内覧会のあと、木下さんにご挨拶。
本当に気さくな人柄の方で、「そのうちにぜひ、丸木美術館で展覧会をやりましょうね」と温かい言葉をかけて下さいました。

人間の身体に深く刻まれた皺が、ときに抽象表現のようにも見えるほどのスケール感は、やはり作品の前に立ってこそ伝わるもの。画集や映像では感じられません。
生きることの意味をあらためて確認させてくれるような、お勧めの展覧会です。
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