2012/7/28

ピースあいち「原爆の図展」初日・ギャラリートーク  講演・発表

朝7時半に東京駅を出発する新幹線で名古屋に向かい、今日からピースあいちで開催される「原爆の図展」を訪れました。ピースあいちは大勢のボランティアが運営を支える民営の平和博物館で、今年5周年という節目の年を迎えています。
N館長やMさんなどスタッフのなかには、26年前に愛知県美術館で開催された原爆の図展に尽力された方もいらっしゃいます。

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Mさんに案内されて、まずは館内の展示をひとまわり。
2階の常設展示では、愛知県下の空襲、戦争の全体像、戦時下の暮らし、現代の戦争と平和の四つのテーマを、豊富な資料と展示パネルでわかりやすく見せています。

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戦時下の雑誌や日用品などはもちろん、焼夷弾によって穴の開いた天井板や、空襲で焼けて炭化した家の柱という貴重な資料が町屋を再現したブースに展示されていて、展示パネルでは加害と被害が複雑に交錯する戦争の実相を丁寧に解説しています。

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今回、私が知りたかったのは、1945年8月の愛知県下の空襲についての情報でした。
というのも、丸木位里が原爆投下後の広島に駆けつけた際、列車の車窓から「名古屋の空襲を目撃した」と回想しているからです。「広島に新型爆弾投下」との大本営発表があったのは8月7日の午後3時半。翌朝に東京を発ったとして、その日の前後に名古屋周辺で空襲が行われていれば、話の辻褄があいます。ピースあいちの展示資料を見ると、名古屋ではありませんでしたが、たしかに、8月7日に豊川で大規模な空襲が行われていたことがわかりました。位里が目撃したのは豊川空襲だったのでしょう。
位里の回想には、さらに翌日、尾道のあたりで、「昨夜の空襲」でまだ町が燃えている中を「曲芸師の火渡りのように」突っ走ったとあります。これは死者354人、重軽傷者864人の犠牲を出した8月8日夜の福山空襲を指しているのでしょう。
こうして位里の回想から空襲の目撃情報をたどっていくと、位里が広島に到着したのは8月9日深夜/10日未明であったことが、はっきり裏付けられるのです。

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今回、丸木美術館から貸し出した原爆の図第5部《少年少女》と第12部《とうろう流し》は、3階の展示室にならんでいました。こじんまりとした空間ですが、その分、間近に原爆の図を観てもらえそうです。会場を案内する係の皆さんからも、原爆の図展を成功させようという深い思いが伝わってきて、本当にありがたい限りです。

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午後11時からは、原爆の図展の開会式。中京テレビが取材に来て下さいました。
1階のホールで、まずはN館長が開会のご挨拶。続いて岡村が挨拶をした後、来場者に丸木俊についての映像資料を見てもらいました。

午後1時からは、岡村が担当するギャラリートーク。
まずは3階の原爆の図の前で、絵の説明を行いました。
原爆の図は、キノコ雲でも原爆ドームでもなく、人間を描いた絵画であること。
丸木夫妻は傷ついた人の視線から戦争・社会問題を描くという姿勢を生涯貫いたこと。
美しく描きたいという芸術家としての思いと、事実を伝えなければという使命感が、二人のなかに常に葛藤としてあったこと。
占領下の時代のなかで原爆の記憶を共有するために行われた巡回展が、はじめて愛知県で開かれていたのは、サンフランシスコ講和条約が発効し、ちょうど占領が終結した日(豊橋市中央公民館、1952年4月26日〜29日)であったこと……。
20分ほどそんな話をした後で、1階に移動して、今度はモニタを使用しながら、丸木夫妻と初期原爆の図の歩みを中心に紹介しました。

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写真は、司会を務めて下さったKさんと、会場の風景です。
ちょうどピースあいちボランティアの丸山泰子さんが、丸木俊といわさきちひろの関わりについてメールマガジンに執筆して下さっていたので、俊とちひろの師弟関係や、絵画表現と精神性の類似についても触れました。
また、丸木夫妻以外の画家たちがどんな原爆の絵を描いていたのか、彼らと丸木夫妻の表現はどこか違っていたのか、というような話もしました。
トークの終わりには、この日会場を訪れて下さった一宮市立三岸節子記念美術館のS学芸員に、秋に同館で開催する企画展「生誕100年 丸木俊展」の紹介もして頂きました。

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お世話になったスタッフの皆さんに心から感謝しつつ、夕方には新幹線で下関へ移動。
明日は下関市立美術館「生誕100年丸木俊 絵本原画展」で講演を行います。
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