2011/2/18

文学座公演「美しきものの伝説」  他館企画など

午前中は、昨年5月に亡くなられた針生一郎館長のお宅にお伺いして、第2回目の資料調査。
今回は、針生さんの長女のCさん、孫娘のKさんのほか、宮城県美術館のM学芸員、和光大学のM教授もごいっしょでした。
調査を重ねるたびに、あらためて針生さんの積み重ねてきたものの重みを実感します。
M教授の「こうした調査は、短期間に済ませるのでなく、長期的視点で継続していくことが大切」という言葉が身にしみます。
もちろん、本格的な調査は大学や公立美術館にお任せするのが一番なので、丸木美術館ではできる範囲のことをやっていくしかないのですが……。

   *   *   *

午後7時からは新宿南口の紀伊国屋サザンシアターへ行き、文学座公演『美しきものの伝説』(作=宮本研、演出=西川信廣)を鑑賞しました。

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1910年の大逆事件から1923年の関東大震災までの13年間を舞台に、大杉栄、堺利彦、荒畑寒村、辻潤、平塚らいてう、伊藤野枝、神近市子らの社会運動家や、島村抱月、中山晋平、沢田正二郎、小山内薫、久保栄ら新劇運動の担い手が次々と登場し、激しい生を交錯させる、非常に見応えのある舞台です。

時代や“民衆”と向き合いながら、社会の変革そして演劇/芸術の革新を真剣に目ざした若者たちの姿は、おそらくは公演に取り組む役者やスタッフのひとりひとりに共通する普遍的な問題であるだろうし、観客席でそれを見届ける私たちにも通じるものだと思えます。
とりわけ、芸術と社会が鋭く交錯する一瞬の接点を模索するという点では、丸木美術館の現場に関わるひとりとして様々なことを考えさせられました。

紀伊国屋サザンシアターは大入りで、熱気にあふれていました。
ロビーには、同時期に開催中の丸木美術館の「大逆事件100年特別展示」のチラシも置かせて頂いています。
今回の丸木美術館の「特別展示」は、幸徳秋水らの命日に合わせて開催したこともあるのですが、非常に大きな反響を呼んでいます。
「丸木夫妻が《大逆事件》という作品を残していることを知らなかった」
「どうしても《大逆事件》の絵を見ておきたくて足を運んだ」
という声も来館者から聞こえてきます。

特別展示とはいうものの、作品は1点のみ。
関連作品として「足尾鉱毒の図」を2点展示してはいるものの、わざわざ来館して下さった方々は満足して下さるのだろうか、という不安も少しあったのですが、やはり、丸木夫妻の持つ絵の力が大きいのでしょう。
「見て良かった」と感想を伝えて下さる方が多くいらっしゃいました。

常設の「原爆の図」と《大逆事件》を続けて観ることで、そこから何があらわになってくるのか。
展示をご覧になった方々には、十分に伝わったのではないでしょうか。
実作品を展示し、現代の社会の動きや歴史の文脈に位置付けていくことで、作品が新鮮な視点で受け止められていく。
それこそが美術館の役割なのだろうと思いを巡らせながら、劇場を後に家へ帰りました。
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