2010/5/27

美唄市S氏の北海道展調査  1950年代原爆の図展調査

OKINAWA展や5月5日開館記念日などで慌ただしくしているうちに、美唄市のSさんが北海道各地の原爆の図巡回展について、非常に詳しく調査を進めて下さいました。

その調査によって、1951年11月の旭川展の詳細が判明するなど、各地の巡回展の様子が次々と明らかになってきました。Sさんは炭鉱や労働組合の歴史について長年研究を重ねられている方なので、そうした社会背景についても詳しくまとめて下さっています。
以下に、Sさんの調査をもとに原爆の図北海道巡回展の軌跡を簡潔にまとめてみます。

   *   *   *

@1951年10月-12月 第1期原爆の図北海道巡回展
 丸木夫妻が帯同(原爆の図5部作出品)

10月28日-10月30日 室蘭市・室蘭労働会館2階
 新日本文学室蘭支部・日鋼室蘭製作所職員・文芸誌『ひろば』の文学関係者・室蘭地協書記長・北電元職員らによる実行委員主催。責任者:室蘭市立中央図書館長。室蘭工大生・地協書記らも会場設営や運営に参加。入場者数:約5,000人。

11月3日-11月7日 旭川市・丸勝松村百貨店3階
 旭川純生美術会・道アンデパンダン美術会・平和問題懇談会主催。北海日日新聞社後援。大人10円、学生子供5円。『北海日日新聞』1951年11月3日広告掲載。

11月10日-11月12日 空知管内秩父別村・善性寺
 善性寺は赤松俊子の生家。入場者数:約3,000人。最終日に「原爆死者追悼法要」開催。

11月20日-11月21日 札幌市・第1会場=丸井百貨店5階、第2会場=富貴堂2階
11月22日-11月25日 札幌市・北海道大学中央講堂

 北大文化団体連合会主催。道学連・北大全学中央委員会後援。協賛団体は労働組合・婦人団体など30以上。第1会場には《原爆の図》とデッサンを展示、第2会場には民科北大各学部制作の模型やパネル80点を展示。第2会場に掲示した感想文が政令325号違反とされ、責任者の1人を札幌市警が逮捕。『北海道大學新聞』1951年11月20日、同12月5日などに関連記事掲載。入場者数:約2万人。

11月29日-12月2日 函館市・棒二森屋百貨店2階
 北大水産学部・道学芸大函館分校自治会主催。百貨店側がウィンドウ・広告費を提供。学芸大教授や学生、北大水産学部・パネル運搬の北大理学部学生8人らも会場整理や説明を担当。12月1日午後、チェロ奏者井上頼豊が追悼演奏。入場者数:約1万人。

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A1952年1月-5月 第2期原爆の図北海道巡回展
 濱田善秀・吉崎二郎が帯同(原爆の図3部作出品)

1月10日-1月14日 夕張市・夕張市民会館2階集会室
 民科夕張支部主催。地元教員・宗教者・女子高生も協力。民科札幌支部『大会報告要旨』(1952年5月22日)によれば、11日より10日間、民科札幌支部が「高校生のための冬期講座」(物理化学・生物・地学・社会)を開催し、毎回50〜60人が出席。
 ※松井愈『朝鮮戦争下の科学運動』p.10によれば、1月10日-1月17日に夕張市で開催とある。

1月 岩見沢市
 日時会場不明。『北海道新聞』空知地方版等には開催記事なし。岩見沢地区労協の主力は国鉄、電産・全電通・北教組。

1月 空知管内栗沢町美流渡地区
 日時会場不明。『北海道新聞』空知地方版等には開催記事なし。北炭幌内鉱業所万字炭鉱の一部。労組は美流渡炭鉱労組と職組。

1月 空知管内三笠町幌内地区
 日時会場不明。『北海道新聞』空知地方版等には開催記事なし。北炭幌内鉱業所内の主力鉱地区。労組は幌内炭鉱労組と職組。

1月27日-1月28日 美唄市三菱美唄地区・三菱美唄炭鉱労働組合本部2階
 三菱美唄炭鉱労組主催。原爆の図3部作と原爆解説パネルを展示し「綜合原爆展」として開催。山内全小中学生参観。三菱美唄文学会『炭炎』に来場者の感想掲載。

1月-2月? 空知管内砂川町
 日時会場不明。『北海道新聞』空知地方版等には開催記事なし。砂川地区労協の主力は、三井東洋高圧労組・全日通・電産。

2月 空知管内上砂川町
 日時会場不明。『北海道新聞』空知地方版等には開催記事なし。三井鉱山道内主力の砂川炭鉱所在地。労組は砂川炭鉱労組。

2月 空知管内赤平町赤間地区・赤間炭鉱労働組合講堂
 民科札幌支部『北海道原爆展ニュース』(1952年2月25日)には会場は「赤間中学」とあるが、赤間中学は存在せず、見学者の証言によれば北炭赤間炭鉱労組事務所講堂の可能性が高い。北炭赤間礦は北炭空知鉱業所管轄の炭鉱で、赤平町の東海豊里・住友(井華)赤平炭鉱に隣接。組合は赤間炭鉱労組と職組。

2月 空知管内赤平町豊里地区
 日時会場不明。豊里労組若手組合員らによる主催か。組合は豊里炭鉱労組と職組。

2月 空知管内赤平町茂尻地区・茂尻中学校集会室
2月 空知管内赤平町井華赤平地区・住友赤平炭鉱労働組合会議室

 日時不明。主催不明。元北大理学部自治会員の証言によれば、入場料は2会場ともに無料。井華赤平地区では住友赤平炭鉱労組主催の可能性がある。会期は茂尻・赤平とも各1日で移動日1日。労働組合が積極的に受け入れた印象はないという。茂尻地区は国鉄茂尻駅に近い雄別炭鉱鉄道茂尻炭鉱所所在地。組合は茂尻炭鉱労組と職組。井華赤平炭鉱は国鉄赤平駅をはさんで展開する住友鉱業系炭鉱。組合は住友赤平炭鉱労働組合と職組。

2月16日-2月19日 帯広市・藤丸百貨店4階
 帯広地区労働組合協議会主催。1952年2月15日『北海道新聞』十勝帯広版などに関連記事掲載。入場者数は1万人を突破。元北大理学部自治会委員の証言によれば、帯広では見学に来た学生のなかに興味を持って次の開催地以降もついて回った者もいた。帯広地区労協の主力は全日通、国鉄、北教組、全電通など。
 
2月21日-2月22日 根室町松ヶ枝町2丁目梅谷会館
 平和擁護委員会根室準備会主催。「綜合原爆展」として《原爆の図》3部作のほか、デッサンや「広島に捧げるの図」及びパネル類展示。入場料大人20円・学生10円・子供4円99銭。入場者数約3,000人。1952年2月19日『根室新聞』夕刊に関連記事掲載。根室地区労は未結成。

2月24日-2月26日 釧路市・釧路市立労働会館
 日本平和推進国民会議釧路地区主催。釧路市・同国支庁・同教育委員会釧路事務局・東北海道新聞社など後援。入場料4円99銭。入場者数2万5,000人。釧路地方労組協議会の主力は太平洋労組・国鉄・北教組など。「綜合原爆展」として《原爆の図》3部作と模型、デッサン、解説スチールを展示。1952年2月20日『北海道新聞』釧路版、同年2月23日『東北海道新聞』に関連記事掲載。

2月28日-3月2日 網走市桂ヶ丘・網走市立網走小学校体育館
 入場者数:約6,000人。見学者の証言によれば、一般参観のほか、小学校も引率で見学し、解説を聞いた。網走市労組協議会の主力は国鉄・北教組・全日通。

3月6日-3月9日 北見市・第1会場=北見商工会議所大会議室、第2会場=ビルディング百貨店3階
 北見新聞社が創刊40周年記念事業として主催。『北見新聞』に詳報。当時高校生で展覧会を観た地方史研究家I氏の調査によれば、美術・文学・演劇など市内文化団体関係者が実行委員会を結成、青年層が実務を担当した。「綜合原爆展」として開催し、《原爆の図》3部作のほか、模型・パネルも展示。帯同した画家・濱田善秀や北大生ら4人が4日に来北し準備や解説にあたった。入場料200円。入場者数:約2万人。北見地区労協の主力は国労、北教組、電産など。

3月 上川管内名寄町
 日時会場不明。国鉄深名線などの鉄道分岐点。入場料3,500人。『名寄新聞』には関連記事なし。名寄地区協の主力は国鉄、電産、全電通など。

3月 稚内市
 日時会場不明。入場者数:約3,000人。『日刊宗谷』には関連記事なし。稚内地区労協の主力は全日通、全電通、全逓など。

3月 留萌市
 日時会場不明。入場者数:約2,900人。『留萌タイムス』には関連記事なし。留萌地方労協の主力は全道庁、大和田炭鉱労組、国鉄。

3月 空知管内沼田町浅野雨龍地区
 日時会場不明。浅野雨龍炭鉱は中小炭鉱。入場者数:約2,500人。労組は浅野雨龍炭鉱労組、職組。

小樽市
 日時会場不明。小樽は後志地方最大の港湾都市。入場者数:約8,000人。『北海タイムス』にも旧『小樽タイムス』にも関連記事なし。小樽地区労協の主力は全電。

後志管内余市町
 日時会場不明。余市町の主産業は漁業と果樹栽培で、住友金属工業余市鉱山もある。入場者数:約2,000人。労組は全日通、北教組、余市鉱業労組、全逓。


4月4日(予定) 留萌市大和田地区
 予定日は1952年4月5日『民科支部ニュース』による。中小炭鉱の寿大和田炭鉱所在地区。労組は大和田炭鉱労組。

4月8日-4月10日 苫小牧市・苫小牧製紙労働会館
 苫小牧地区労働組合協議会主催、苫小牧民報社後援。「赤松俊子・丸木位里両氏共同制作の総合原爆展」として、原爆の図3部作のほか、北大学生制作のパネルも公開。初日に約800人参観。9日午後6時より労働会館で「原爆懇談会」開催。1952年4月10日『苫小牧民報』に記事掲載。苫小牧は苫小牧製紙(旧王子製紙)の企業城下町。苫小牧地区労協の主力は王子製紙労組・国策パルプ・北教組など。

4月10日-4月20日(予定) 日高管内浦河町・日高管内静内町
 予定日は1952年4月5日『民科支部ニュース』による。『北海道新聞』には関連記事なし。浦河は日高支庁所在地で、浦河町労組協議会の主力は全道庁、北教組、全畜産、全電通など官公労。静内の基幹産業は酪農、競走馬生産、漁業、林業などで、静内街労働組合協議会の主力は北教組、国鉄、全畜産など。

4月21日-4月24日(予定) 空知管内深川町・上川管内富良野町
 予定日は1952年4月5日『民科支部ニュース』による。『北海道新聞』には関連記事なし。深川は吉崎二郎の出身地。基幹産業は農業と林業で、深川地区労協の主力は全日通、国鉄、北教組など。富良野町の主産業は農林業と小規模工場。労組は国鉄、全日通、北教組ほか小規模労組が主体。

5月1日 十勝管内中川幕別町・幕別町立町民会館
 道内巡回展の最終開催地。真区別平和の会準備会主催。元新田ベニヤ労組書記長の呼びかけでメーデーの日に町民会館で開催。元新田労組書記長の証言によれば、《原爆の図》のほかパネルも展示し、同行の画家や学生が解説を行った。入場者数は数百人。1952年5月5日『北海道大学新聞』によれば、「一大カンパニア原爆展」は「一日の北見幕別を最後に多大の成果を収めて終了し、赤松丸木両氏との共同製作者浜田氏をはじめ一行元気で帰札」した。 
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