2010/3/26

【水俣遠足3日目】村丸ごと生活博物館/天野製茶園など  調査・旅行・出張

3日目もY本さんの案内で、湯の鶴温泉からさらに川をさかのぼった頭石(かぐめいし)地区へ。
この地区は集落を生活の博物館と見立て、「生活学芸員」という集落の案内役の方が実際の生活の場を案内する「村丸ごと生活博物館」という活動を行っています。

クリックすると元のサイズで表示します

集落を案内して下さったのは、「生活学芸員」のK目さんとY口さん。
平家の落人の里と言われる頭石ですが、集落の歴史は縄文時代にまでさかのぼるほど、古くから人が住みついていたそうです。何世代もの人びとが時間をかけて築き上げてきた石積みの棚田は、現在も見事にそのかたちを残しています。

クリックすると元のサイズで表示します

地名の由来となった「頭石」からはじまり、生活水路や釈迦堂(平家の落人が持ってきたと言われる雅な顔の仏様が安置されていました)など集落のあちこちを巡る時間は、大人の旅に付き合わされてやや退屈気味だった子どもたちにとっては、変化に富んだ楽しい体験だったようです。

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

集落の方々も「子どもがいると風景が違う」と、とてもよろこんで下さいました。
すぐに脇道にそれる子どもたちを見守りながら一行についていくのはひと苦労で、われわれ夫婦はあまり説明を聞くことはできませんでしたが、豊かな水を中心にしながら生活圏内ですべてが循環する風景はとても正しく美しく、心を打たれました。

クリックすると元のサイズで表示します

途中からは、どこからか猫もやってきて、われわれ一行を得意げに案内してくれました。

クリックすると元のサイズで表示します

集会所に戻ると、「生活博物館」の女性メンバーたちが畑で採れた食材を使って、手尽くしの料理を用意して待っていて下さいました。その美味しさに、またしても感嘆!

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

息子Rはサトイモのコロッケが気に入ったようで、いくつもお代わりをしては、周囲の笑いを誘っていました。娘Mが気に入ったのは「しただご」と呼ばれるお餅のようなもの。こちらも負けじと何度も手をのばして食べていました。
妻Tも、農家の庭先で熱心に料理の作り方のレクチャーを受けていました。

クリックすると元のサイズで表示します

豊かな生活文化を守り続けている頭石地区ですが、やはり過疎の現実は深刻なようです。
「自給自足で生きられる時代はよかった。でも今は社会が変化して、生きるために現金が必要な時代。そうなると、ここにいては現金を得る仕事がないから、みんな外に出ていく。10年後には限界集落になるかもしれん」とK目さんは厳しい表情。
それでも、「村丸ごと生活博物館」をはじめたことで、住民もあらためて自分たちの生活の良さを見つめ直す機会ができ、外部の人との新たなつながりも生まれたそうです。そうした活性化の動きが、少しでも集落の未来を切り開く道につながることを祈らずにはいられません。

頭石の皆さんの笑顔に見送られながら、再びY本さんの車に乗ったわれわれ一行は、Y本さんのご自宅に立ち寄った後、Y本さんが所有する山林に向かいました。
この日、Y本さんは竹林の整備を行っていて、谷には切り倒された竹が大量に横たわっていたのです。丸木美術館でも日頃から竹林の整備を行っていますが、Y本さんの山はスケールの大きさが違います。

クリックすると元のサイズで表示します

なぜか、われわれも切り倒された竹を片付ける仕事を手伝うことに……
娘Mは疲れて車内で熟睡していましたが、息子Rは焚火に黙々と枝を投げ込み大活躍。

クリックすると元のサイズで表示します

親子で筍掘りも体験させて頂きました。
といっても丸木美術館では、もうすぐ毎朝竹林をまわって嫌と言うほど筍掘りをしなくてはならないのですが……

次に一行が向かったのは、水俣でももっとも標高の高い集落のひとつ、石飛(いしとび)地区。
そこには「天の紅茶」を栽培している天野製茶園があり、ご主人が待っていて下さいました。
牧場に案内されたわれわれは、大きな黒豚や子どもが生まれたばかりのヤギの親子、たくさんの鶏たちに出会います。

クリックすると元のサイズで表示します

動物がちょっと苦手な息子Rは、気ままに動き回るヤギや犬から逃げ回るのに大忙し。
鶏小屋からは、産みたての卵をとらせてもらいました。

クリックすると元のサイズで表示します

牧場から少し山を登ると、亀嶺峠。
不知火海や大関山、鹿児島湾の桜島、宮崎県の韓国岳まで見渡せる展望スポットです。
かつて頼山陽もこの峠を訪れて詩を詠んだそうで、頂には立派な石碑が建てられていました。

一嶺蟠四国 瞰視万山低 雄抜者五六
指点自不迷 桜嶽在吾後 依依未分携
阿蘇在吾面 迎笑如相徯 温山与霧嶠
俯仰東又西 何図九国秀


クリックすると元のサイズで表示します

写真は亀嶺峠から見下ろす不知火海です。

天野さん一家が自分たちで建てたという野趣あふれる家には、大きな囲炉裏がありました。
その囲炉裏を囲み、みんなで夕食をいただきました。

クリックすると元のサイズで表示します

先ほど鶏小屋から頂戴したばかりの新鮮な卵を、囲炉裏で炊いたごはんにかけ、イノシシ、シカ、アイガモの肉の入った鍋といっしょに食べます。水俣の山の幸の御馳走です。

クリックすると元のサイズで表示します

今回の水俣遠足は、どうやら海、川、山の御馳走を食べ歩く旅になったようです。
食後に囲炉裏を囲んで雑談をするなかで、Y本さんは、「水俣は狭い場所に海、川、山、町の暮らしがそろっている日本の縮図のような地域。そこに近代化のひずみのような公害病がいち早くあらわれたのは、決して偶然ではない」と言いました。

クリックすると元のサイズで表示します

今回の旅行は、水俣の各地で暮らす人たちの姿を見て、自然の恵みを味わいながら、この地に発生した「水俣病」の意味を逆説的に体感する旅だったのかも知れないと、遅まきながら気づいた夜でした。
0




※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ