2009/10/16

中村正義展 ―美の秩序に挑んだ画家 ―  企画展

昨日、川崎市麻生区の「中村正義の美術館」から、中村正義の作品62点を無事に運搬してきました。

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次回の企画展は「中村正義展 ―美の秩序に挑んだ画家―」(10/24-12/12)。

中村正義(1924-1977)は、《源平海戦絵巻》などの作品で知られる日本美術史上に特異な足跡を残した画家で、丸木夫妻とは“反権力”を掲げた人人展や東京展で行動をともにするなど生前親しく交流しています。
1924年、愛知県豊橋市に生まれた彼は、36歳の若さで日展審査員となりましたが、伝統的な徒弟制度のなかでの作家活動に疑問を抱き、1961年に日展を脱退。その後は、自らの内面世界を強烈な色彩と筆致で表現した《顔》や《舞妓》のシリーズなど、従来の美意識や秩序に挑むような自由で革新的な創作を試みました。
 その一方、舞台や映画にも表現の世界を広げ、画壇の変革をめざして日展に対抗する組織を立ちあげるなど、社会に対してさまざまな問題を提起し続けました。1977年に52歳で亡くなるまで住み続けた川崎市の住居は、現在、「中村正義の美術館」として一般に公開されています。

 丸木夫妻が《水俣の図》を描いたように、正義も水俣病に現代文明の将来に対する不安と怖れを見出したような作品を残しています。なかでも有名なのは豊橋市美術博物館が所蔵している《何処へいく》(1974年)ですが、今展には「中村正義の美術館」館外初公開となる未完成作《おそれ C》が出品されます。グロテスクな顔をした妖しい群像の背景に、廃液の垂れ流しによって水俣病を発生させたチッソ工場が無気味なシルエットを浮かび上がらせている作品です。

   *   *   *

私にとって「中村正義展」は、数年越しの念願の企画でした。
毎年、春と秋に開催される「中村正義の展覧会」の企画展に足を運びながら、「いつかは……」と思い続けていました。その間、正義にまつわるいろいろな話を聞かせて下さり、展覧会が実現するまでずっと待ち続けて下った、正義の長女の中村のり子館長には、本当に感謝の思いでいっぱいです。今展でも、温かいご理解とご協力を頂き、約60点の絵画をお借りすることができました。
形骸化した美術界の秩序に反旗を翻し、「不公平是正という人間の最も根元的な素朴な理念」を目ざして実践活動を続けた正義の精神と、《原爆の図》によって戦争の不条理、生命の尊厳を描いた丸木夫妻の世界が、どのように結びつき、観る人に新たな視点を提示できるのか、ぜひ多くの方にご覧頂ければと思います。

会期中には、以下のイベントも行います。

■10月31日(土)午後1時
講演「中村正義と映画」武重邦夫(映画監督・プロデューサー)

当日は、「中村正義の美術館」中村のり子館長のご挨拶も予定しています。
また、武重邦夫氏の講演では、日本映画史上に残る傑作映画『怪談』(1965年 小林正樹監督)の「耳なし芳一」に用いられた中村正義の代表作《源平海戦絵巻》の画像も紹介しながら、正義と映画との関わりをお話いただく予定です。参加は無料(入館券は別途必要)となります。
(針生一郎氏の講演も予定していましたが、都合により、11月7日午後1時に変更となりました)

■11月7日(土)午後1時
講演「中村正義の真価を語る」針生一郎(美術評論家・原爆の図丸木美術館館長)

画家・中村正義の理解者であり、日展に対抗する団体を組織しようとした彼の姿勢を高く評価している針生一郎氏が、中村正義の真価について語ります。参加は無料(入館料は別途必要)となります。

■11月7日(土)午後3時40分
講演「水俣病の今」 久保田好生(東京・水俣病を告発する会)
ひとり芝居「天の魚(てんのいお)」(石牟礼道子『苦海浄土』より)出演=川島宏知

※前売2,000円 当日2,500円 全席自由(丸木美術館友の会会員は各500円割引)
石牟礼道子さんの文学作品『苦海浄土』をもとに、故砂田明さんが作りあげたひとり芝居「天の魚」。砂田さんの弟子の川島宏知さんにより復活した伝説的な演劇が、丸木美術館で上演されます。前売り券のお申し込みは丸木美術館事務局まで。
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