2018/11/17

もう一つの日本文化 (アイヌ・先住民族の漁業権回復)   文化・芸術
 2つ前のブログで、(10月に)10日余の個人旅行をしてきたことを書いたが、この旅行は本州旅行であり、その中にはアイヌに関係するものが2つ含まれている。

 1つは10/7(日)の東京交響楽団の「シンフォニア・タプカーラ(伊福部昭作)」の演奏会(ミューザ川崎シンフォニーホール)を鑑賞したことだ。

 この交響曲については、2018/4/9のブログで、木村さん夫妻と我が夫婦が、札幌コンサートホール・キタラで「シンフォニア・タプカーラ・第3楽章」を鑑賞したことを書いたが、今回は全曲(全3楽章)だ。本当にこの曲はいつどこで聞いても素晴しい。

 *木村さん夫妻と共に聞いた「伊福部昭トリビュート・春の音楽祭」は、ライブCD化・販売されている。

 もう1つは、10/10(水)の松浦武四郎記念館(三重県松坂市)の訪問だ。
 2018/7/17のブログで木村さんは、次のように武四郎を評価している。

 『…松浦武四郎は、28歳以降、6回のアイヌモシリ探検を通じてアイヌ語を習得、アイヌ語を流暢に話し、また、函館開港後の幕府のお雇いになってからは、アイヌの惨状を見かねて、函館奉行に【場所請負人の悪辣なやり口】を訴える願書を提出するなどの事実も残されています。

 そのような時代にアイヌを人として寄り添ってくれた、数少ない、真っ当な日本人だった事を私は評価します。…』

 私は、この記念館の解説小冊子を2部求め、浦川太八さんと木村さんへの土産としたが、この館内の展示(解説)パネルを読んでいて、感じるものがあった。

 【…武四郎は、「アイヌ」と「シャモ」の共存を願っていた。しかし現実に武四郎が見たものは、松前藩・場所請負商人・幕府役人による【侵略・横暴・搾取・収奪・酷使・陵辱】の数々であった。武四郎の書いた膨大な日誌は地誌であるとともに、告発の書であった。】

 この幕府役人等の横暴などは、150余年前のことであるが、今日の日本政府[内閣官房副長官補、アイヌ政策推進室]の【アイヌ遺骨返還】、【アイヌサケ漁】、【国連先住民族宣言、国会決議、有識者会議報告】に対する取組姿勢を鑑みると、どれだけの違いがあるというのか疑問である。

 武四郎の告発以降150余年、アイヌの【人としての権利】、【我国における等しく国民としての権利】は、ほとんど前進なく、放っておかれてただけではないのか?

 【アイヌ遺骨返還】については前回ブログで触れたので、今回は【アイヌサケ漁】を例に、現状の一端を報告する。

 昨年2017/10/25及び2017/11/10の2回のブログで紹介したが、昨年のオホーツク(紋別市)モベツ川で行われた【アイヌサケ漁】については、北海道(オホーツク総合振興局)、北海道警察などが【共謀】して「私文書偽造の申請」を行い、北海道知事が「遡った日付での許可証」を出すという不法な行為を行った疑いがある。

 木村さんは、この不法行為の是非を世間(日本国民全体)に問うべく、道内最大の発行部数を有する新聞社に情報提供等を打診した。しかしながら、そのレスは、日本政府の圧力により記事にできないとのことだった。

 恐らくは、日本政府の小人[内閣官房副長官補、アイヌ政策推進室の担当参事官]が関わっているのかもしれない。

 その経緯・概略は次のとおりだ。

 @紋別アイヌ協会会長の畠山敏(ハタケヤマサトシ)さんは、昨年8月25日〜27日、紋別市のモベツ川で鮭を捕獲した。この鮭捕獲は、北海道(オホーツク総合振興局)への許可申請の手続きは行っていない。

 A8月26日、畠山さんが漁を始めようとすると、警官がやって来て『北海道知事の特別採補許可証を持っていますか』と質問。畠山さんは『アイヌにそんなものは必要ない』、『先住民族が持っている権利、紋別に住んでいるアイヌが何百年、何千年と鮭を捕ってきた権利で鮭漁をしているだけだ』、『私の鮭漁が日本の法律違反というならば逮捕してくれ』と返答。

 畠山さんと警官との間で、『逮捕しろ』、『逮捕はできない』の押し問答が続いている中、紋別漁協の専務が登場、漁協専務が始末書的なものを北海道警察に提出することで、その場は決着した。

 B9月11日、畠山さんは漁協事務所で北海道(オホーツク総合振興局)職員(恐らく課長)から、【知事の特別採補許可証】を受け取った。

 *畠山さんは、『自分は申請書を作成・提出していないので受け取れない』と拒んだが、最終的には漁協専務の顔を立てて【自身が作成・提出していない申請書に基づく許可証】を受け取ったとのこと。

 ■許可証の記載:発行日:平成29年8月16日、許可期間:平成29年8月20日〜平成29年9月20日

 C問題点1
 申請書は畠山さんが作成・提出していない。何者かが畠山さんの依頼も関与もなく申請書を作成し、オホーツク総合振興局に提出したという事実がある。【私文書偽造】による申請だ。

 D問題点2
 オホーツク総合振興局は「私文書偽造された申請書」と知っていて受理し、「許可する」という不法な行政行為を行った疑いがある。

 *当該許可証を持ってきた振興局職員(恐らく課長)は、畠山さんの『自分は申請書を作成も提出もしていない』との主張に対して何の抗弁もしていないという事実がある。

 E問題点3
 許可期間(平成29年8月20日〜平成29年9月20日)は、「警官との押し問答となった事件日8月26日」以前となっている。
   ※下の許可証はクリックで拡大します。
 クリックすると元のサイズで表示します
 *【特別採補許可】は、北海道内水面漁業調整規則(法律)に基づき、北海道知事が「許可」する行政行為。その公文書が、私文書偽造の申請書により、問題が生じた事件日の前に遡って作成・交付されている。

 *第三者的に考えると、北海道(オホーツク総合振興局)、北海道警察、紋別漁協(専務)の3者が【共謀】して「私文書偽造の申請」を行い、北海道知事(オホーツク総合振興局)が「遡った日付での許可証を出すという不法な行為を行った」可能性がある。

 F問題点4
 行政の不法行為によって【A[無かった事]が[有った事]】にされ、【B[有った事]が[無かった事]】にされたという【事実の捏造】の事実がある。

 A.【畠山さんが作成・提出していない申請書】は、【何者かの私文書偽造及び北海道(オホーツク総合振興局)への提出により「畠山さんが作成・提出した申請書」とされた】。

 B.【当該許可証の許可期間:平成29年8月20日〜平成29年9月20日】により、【8月26日の警官との押し問答】及び【8月25日〜27日の無許可の鮭捕獲(法律上は違法行為)】は無かったことにされた。


 さて、サケは毎年、帰ってくる(遡上してくる)。今年の【畠山さんのサケ捕獲】は、どうだったのであろうか? 10/10、北海道新聞に次の記事が出た。

 『サケ漁の自由求める 紋別アイヌ協会、道に意見書 

 紋別アイヌ協会(畠山敏会長)が8月末、水産資源を保護するための北海道内水面漁業調整規則に基づく道の許可を得ずに儀式用のサケを川で捕獲して道警に阻止された問題で、畠山会長は9日、アイヌ民族が先住民族の権利として自由に漁ができるようにすることなどを求めた意見書を高橋はるみ知事らに提出した。

 その後、道庁で記者会見した畠山会長は、資源を利用する先住民族の集団的権利を盛り込んだ国連先住民族権利宣言などを挙げ「奪われた権利の回復を強く望む」と訴えた。同席したアイヌ政策検討市民会議(世話人・丸山博室蘭工大名誉教授)も、アイヌ民族への調整規則の適用をやめ、資源を利用する権利を保障する新たな規則の制定などを求める意見書を9月29日付で知事らに提出したことを明らかにした。

 アイヌ民族のサケ漁について、道は捕獲者が許可申請をした場合に限り、伝統儀式などのための捕獲を認めている。畠山会長は「先住民族はもともとあった漁業権を奪われた」として申請を出さずにサケを捕獲しようとし、申請を求める警察と言い合いとなり、漁を断念した。』

 記事では「警察と言い合い」と表現されているが、実際は【畠山さんの今年のサケ漁は、北海道警察によって実力阻止された】模様だ。

 さて、この新聞記事を斜め読みすると、「畠山さんが、先住民族の権利として漁ができるように求めている」のに対して、道は「捕獲者が許可申請をした場合に限り、伝統儀式などのための捕獲を認めている」と、アイヌのサケ漁ができる方法があるように読めるが、これは、全く見当違いの解釈になる。

 他のマスコミなどでも「現状ではアイヌが鮭を捕獲する際、そのつど行政から[特別採捕]の許可が必要で、その運用改善が必要だ。」との旨の記事があるが、これも同様に、見当違いの解釈だ。

 一口にサケ漁といっても、畠山さんの主張「奪われた権利の回復」として求めている[漁業権]とアイヌ伝統儀式などのための[特別採捕]は全くの別物である。

 これは、私が勝手に判断しているわけではない。国の有識者懇談会の会議(H21.4.24第7回アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会)で、そう整理されているのだ。

 畠山さんが主張している「先住民族の漁業権回復」は、国連先住民族宣言の第26条(…資源に対する権利)【先住民族は、自らが伝統的に所有し、占有・・・してきた・・・資源に対する権利を有する。・・・】に規定されている権利だ。

 だが、[特別採捕]は、国の有識者懇談会の資料によれば、国連先住民族宣言の第25条(土地や領域、資源との精神的つながり)【先住民族が伝統的にに使用等してきた土地等に対する精神的関係の維持・強化等】であり、第26条の[…資源に対する権利]とは全く異なるものだ。

■アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会(第7回)
 日 時:平成21年4月24日(金)13:04〜15:02
 場 所:総理官邸4階大会議室
 出席者:安藤委員、加藤委員、佐々木委員、佐藤委員、高橋委員、常本委員、
      遠山委員、山内委員
       河村内閣官房長官、松本内閣官房副長官、漆間内閣官房副長官、
      福田内閣官房副長官補、林内閣官房副長官補、秋山内閣官房アイヌ政策推進室長
  ※下の表はクリックで拡大します。
 クリックすると元のサイズで表示します

 大雑把に両者の違いというと、[漁業権]は所有権などと同じ財産権であり、その捕ったサケの利用方法についての制限はない。捕ったサケを自家消費しようが、自分が経営するレストランの食材にしようが、卸売市場で販売しようが自由だ。財産権であるから当然だ。

 だが、[特別採捕]は全く違う。その許可申請には、「目的」を書かなければならない。そして、その目的以外には利用できない。

 その目的とは、例えば、「アイヌ伝統儀式(の供え物)」、「アイヌ工芸品(チェプケリ/サケ皮の靴など)の原材料」、「(商業ベースでない)アイヌ伝統料理の材料」などだ。目的外の利用は許可違反になる。例えば、「レストランでの食材利用」、「卸売市場での販売」などは明らかな許可違反だ。

 畠山さんが主張している「先住民族の漁業権回復」とは、[漁業権という財産権]でなければならない。なぜなら、畠山さんは、地元モベツ川のサケ漁を、地域の若いアイヌの「飯の種」=アイヌの生業、産業にしようと考えているからだ。

 日本政府の小人[内閣官房副長官補、アイヌ政策推進室]は、イカサマ師・ペテン師でもある。この[漁業権]と[特別採捕]とを故意(恣意的)に整理しないままマスコミ等に情報提供しているフシがある。

 また、小人[内閣官房副長官補、アイヌ政策推進室]は、現在、国において、アイヌの「漁業権の権利付与」を検討していますという姿勢を見せかけながら、[特別採捕制度の改善及び運用]でお茶を濁す可能性が極めて高い。正に、小人、イカサマ師・ペテン師だ。

 この小人達は、もっともらしい理屈だけは言う。例えば、アイヌへの漁業権の付与には、他の漁業権者との調整が必要だとの理屈だ。なお、「付与」とは「授け与える」という意味だ。「アイヌの漁業権」というものが、過去に存在していなくて、いわば「白紙の状態」ならば、「付与」が適切だろう。

 だが、歴史事実として、アイヌはコタン毎に排他的な漁業権を有していたのだ。将来、アイヌが漁業権を有することになったとしても、それは「返還」や「回復」という性質のものだろう。

 *どうやら、小人[内閣官房副長官補、アイヌ政策推進室]は、「返還」という概念を理解できないらしい。「アイヌ遺骨返還」の問題に関しても、「盗掘されたアイヌ遺骨は、当該コタンのもの」という正論を頑迷に拒否している。

 世界共通の法認識として「財産権の不可侵」という原則がある。過去、明治時代の日本政府によってアイヌの漁業権は、この原則を破られ、不当に収奪されたのだ。アイヌの漁業権設定に当たっては、この歴史事実を踏まえる必要がある。

 現在の漁業権者の権利も当然ながら尊重されるべきものである。アイヌの漁業権に対して、「合理的な制約」が課されることはありうるだろう。だが、その場合であっても、「合理的な制約」が認められるのであって、「理屈の合わない制約」、「合理的な理由を説明できない制約」は認められるものではない。

 法に正義があるのであれば、アイヌが先に漁業権を有していた歴史事実、日本政府によって不当に収奪された歴史事実を深く認識し、対応するべきだ。

 なお、畠山さんが主張している「先住民族の漁業権回復」は、国連先住民族宣言の第28条(…資源の回復と補償を受ける権利)【先住民族は、自らが伝統的に所有し、占有・・・してきた・・・資源であって、その自由で事前の情報に基づいた合意なくして没収、収奪、占有、使用され、または損害を与えられたものに対して、原状回復を含む手段により、またはそれが可能でなければ正当、公正かつ衡平な補償の手段により救済を受ける権利を有する。・・・】でも規定されている権利だ。
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2018/11/28  9:25

投稿者:初冬のコペンハーゲンにて
昨日、コペンハーゲン空港に到着し、空港のロビーを歩いているとBGMにクラシック音楽が流れていた。
長時間のフライトと時差ぼけの身体が心地よく癒される。
ショスタコーヴィチの曲も流れていた。
日本の交響曲の第一人者である伊福部の曲は、なにか世界的な交響曲の大家であるショスタコーヴィチの作風を彷彿させるものがあると感じた。

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