2017/11/10

もう一つの日本文化(地元河川での鮭捕獲アイヌへの奇妙な事実〜政府はアイヌの鮭捕獲を容認か・その2)  文化・芸術
 木村さんは台湾の先住民族(*台湾の表現では原住民)との交流事業で本日午前中まで在台中、ブログ原稿の確認がいただけないまま数日が過ぎてしまったが、本日の北海道新聞第一面は【米抜きTPP(環太平洋連携協定)大筋合意】記事だ。

 日本政府は、本年7月に大枠合意したEUとのEPA(経済連携協定)に引き続き、大型通商交渉を主導し、最終的に各国の了承を取り付けたという。

 近隣国からはアメリカがいなければ何もできない日本と言われ、安倍がトランプに尻尾を振っていると揶揄されるが、実はアメリカ追従が戦術で米抜きTPPが戦略だとしたら、韓信の股くぐりではないが、日本政府(安倍、官僚)も大したものだ。

 なお、本年1月17日の日経新聞には「日ロ(海上自衛隊とロシア海軍)の共同訓練が2年3カ月ぶりに再開する」記事が載っていた。海上自衛隊はヘリ搭載型護衛鑑「ひゅうが」と多用途支援鑑「ひうち」を派遣する本格的なものだ。

 その2年3カ月前の日ロ共同訓練では、海上自衛隊は護衛鑑「はまぎり」をウラジオストクに派遣した。この時は、ヨーロッパを中心に海外紙から「日本は注意深くバランスと取りながらアメリカから離れようとしている」旨の記事が多く出された。

 ともあれ、世界も日本も歴史も動いている。過去の歴史からは盤石不動に思える状況も、未来・将来に変わらないことの証にはならないということだ。

 さて、前回のブログで、【奇妙な出来事・1】畠山さんの鮭漁に係る警官の押し問答、【奇妙な出来事・2】(恐らくは)オホーツク総合振興局・北海道警察・紋別漁協の3者による共同行為〜鮭漁実施日の前に遡っての[特別採補許可]について書いたが、【奇妙な出来事・3】がある。

 まず、前記の3者には動機が感じられないことだ。前記の3者はいずれも実施に伴う利益がないと思われる。特にオホーツク総合振興局及び北海道警察という行政機関は、根拠法令や上位機関からの指示(命令)という根拠がなければ、組織として不法行為を行うことは考えられない。

 ここから先は推測になる。木村さん達と共にこの不法な行政行為の背景(目的)を考えた。あくまで憶測だが、【先住民族アイヌが地元の河川で鮭を捕るという行為は、罪に問えない】という結論があり、誰かがオホーツク総合振興局及び北海道警察に指示したと考えることが妥当だ。

 では、「先住民族アイヌが地元の河川で鮭を捕るという行為」、畠山さんの主張では、国連の先住民族宣言第26条の権利を我国において担当する部署はどこだろうか?

 日本政府の担当部署は、内閣官房アイヌ総合政策室であろうし、内閣官房長官が座長を務めるアイヌ推進会議やその作業部会である政策推進作業部会(構成員・審議委員)が何らかの形で関与しているのかも知れない。このテーマについては、後段で再度触れる。

 さて、話は少し変わる。
 8月5日の北海道新聞に『アイヌ政策を担当する菅義偉官房長官は7月に国会内で北海道新聞のインタビューに答え、検討中のアイヌ民族に関する新法に生活・教育支援を盛り込むことについて、憲法14条の「法の下の平等」との関係など整理する課題があることを理由に「難しい」との姿勢を示した。…』という記事が掲載された。

 木村さんはこの記事に大きく反発し、自身がパーソナリティーを務める【FMピパウシ・木村ニ三夫の言いたい放題(9月)で舌鋒鋭く追及した。
*2017/9/6のブログ参照

 このブログ記事取材の為に畠山さんを訪問した際にも、畠山さんは【菅官房長官に大きな怒りを持っている】ことを話された。近々具体的な行動を行う予定ともお聞きした。

 どこかの大学教授や菅内閣官房長官が唱えている【先住民族の権利は、日本国憲法第14条の全て国民は法の下の平等原則に抵触する】などという理屈は、世界視野や先進国の国際標準から俯瞰した場合、合理性を持たない。

 理由は、何よりも2007年9月の国連総会で日本政府が「先住民族の権利に関する国連宣言」採択に際して賛成票を投じたことだ。

 加えて、このお2人は、国連宣言の翌年(2008年)6月の国会・アイヌ民族先住民族決議後に福田閣官房長官が要請し、翌2009年7月に取りまとめられた「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告書」を知らないのだろうか?
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/dai10/siryou1.pdf

 そこでは、次のように記述されている。
 「・・・憲法等を考慮したアイヌ政策の展開
 また、国及び地方公共団体により実施されるアイヌ政策が、我が国の最高法規である日本国憲法(以下「憲法」という)を踏まえるべきことは当然である。例えば、アイヌの人々に対して特別の政策を行うことは憲法第 14 条の平等原則に反するのではないか、という指摘がある。

 しかし、事柄の性質に即応した合理的な理由に基づくものであれば、国民の一部について、異なる取扱いをすることも、憲法上許されると一般に解されており、既述のようにアイヌの人々が先住民族であることから特別の政策を導き出すことが「事柄の性質に即応した合理的な理由」に当たることは多言を要しない。

 さらに、我が国が締結している「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」第2条2が、締約国は特定の人種への平等な人権保障のために特別な措置をとることができるとしていることも視野に入れる必要がある。

 これらの観点を踏まえると、憲法がアイヌの人々に対する特別な政策にとって制約として働く場合でも、合理的な理由が存在する限りアイヌ政策は認められるといえる。・・・」

 この報告書は、前年の国会決議を受けて、「国(日本)の政策のあり方のために取りまとめられたものである。
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/index.html

 その「おわりに」では、次の記述がある。
 「本報告書は、…懇談会の全会一致を持って取りまとめたものである。…今、われわれは、アイヌの人々と正面から向き合い、アイヌの人々が「先住民族」として誇りを持って積極的に生きることのできる豊かな共生の社会を現実のものとしようとする新たな局面に立っている。

 この真摯な試みは、諸々の困難を抱える日本にあって、国民一人ひとりがお互いを思いやる気持を持ち、アイヌを含めた次の世代が夢と誇りを持って生きることのできる社会を形成することに寄与するに違いない。そのことは、また、日本が国際社会において「名誉ある地位を占め」(憲法前文)ることに通ずると信じるものである。」

 2007年の国連宣言の後、世界情勢が変化して『○○○○○○○○の理由から、世界及び日本において、先住民族政策を行う必要性が無くなった】などの合理的理由がない限り、【日本政府における行政の継続性】は強く求められるものである。

 一人の内閣官房長官や大学教授等の持論によって方向性を変えて良い性質のものではない。「先住民族の権利は憲法第14条に抵触する」などという戯言は通用しない。

 幸いなことに、この報告書を取りまとめた委員の一人である常本照樹氏は、現在、国(内閣府)のアイヌ政策推進会議・政策推進作業部会部会長である。

 この政策推進作業部会の開催趣旨は、当該報告書などを踏まえ、アイヌ政策の推進を図るためとされている。是非とも2009年「有識者懇談会報告書」を踏まえ、アイヌ先住民族政策を発展させていただきたい。 
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai1/haifu_siryou.pdf


 さて、木村さんは勉強家だ。その木村さんは随時(気まぐれ的に)様々なテーマで勉強会を主催し、論議を行う。あるときのテーマは【国のアイヌ関係審議会等の委員のあり方】だった。

 自由討議の結論は、アイヌ政策推進会議や政策推進作業部会等日本政府の検討部会の構成員(審議委員等)は、その開催(設置)の趣旨から【@先住民族政策の国際的な考え方を理解している、Aアイヌの生活の現状や文化等についての広範な知識を有している、Bアイヌと日本人の関わりの歴史を理解しているという資質が求められる】というものだった。

 私は、審議委員の方々を個別には存じ上げないが、木村さんは数名の方とは様々な懇談等で存じている。木村さんによれば、政策推進作業部会の篠田氏は残念ながら資質に欠け、常本氏にはその活躍を期待したいとの言であった。

 私は、木村さん、畠山さん、さらには他のアイヌとお会いしたときは、その機会を活用して様々な話をするが、お互いに住んでいる所が遠い為、電話の方が多い。

 木村さんなどは何かを思い立ったときは直ぐに電話とFAXをくれる。私も同様だ。電子メール、SNSなどは使わない。いわゆるローテクだが、ブレインストーミングが断続的に行われているような効果がある。

 先日、木村さんとお話していたテーマは、【菅内閣官房長官が唱えていた[憲法第14条の法の下の平等]が現在のアイヌに当てはまるのか?】ということだった。
 *菅内閣官房長官の憲法第14条発言が、木村さんや畠山さんに与えた衝撃は本当に大きいものがある。繰り返し繰り返し話題(課題)として出てくる。

 木村さんも畠山さんも、2008年国会のアイヌ民族先住民族決議及びそれに対する内閣官房長官談話で、【法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌ】という表現があったことを忘れていない。

*衆議院本会議及び参議院本会議においては、【我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない。
 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/ketsugian/g16913001.htm       
 http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/169/080606-2.html

 *「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」に関する内閣官房長官談話においては、【本日の国会決議でも述べられているように、我が国が近代化する過程において、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として改めて、これを厳粛に受け止めたいと思います。
 http://www.kantei.go.jp/jp/tyokan/hukuda/2008/0606danwa.html

 木村さんや畠山さんなどにしてみれば、「法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされ・・・」というのは過去の話ではない、現在の話であり、現実に感じていることだと強く主張された。

 例えば、前回及び今回のブログテーマである「畠山さんの鮭漁」についてだ。
 比較事例として「我国の沿岸捕鯨」を挙げる。


 在シドニー日本国総領事館HPでは、「捕鯨問題における日本の立場」が説明されている。
 *オーストラリアの世論調査では94%が捕鯨反対。
 http://www.sydney.au.emb-japan.go.jp/japanese/top/important_info/standpoint_of_japan.htm

 一部分を紹介する。
 『鯨と日本人のかかわり
 日本人は、鯨を頭から尻尾、皮から内臓まで丸ごとすべて完全に利用してきており、日本人と鯨の深い関わりは石器時代の遺跡、伝統芸能、鯨の墓や碑、食文化として日本全国至る所に見受けられます。

(1)食文化(略)
(2)文芸(略)
(3)祭りと芸能(略)
(4)信仰(略)』


 日本の捕鯨問題は、BBCニュースでも取り上げられている。
 「日本とクジラ なぜ日本は捕鯨をするのか」 2016年02月9日,ルパート・ウィングフィールド=ヘイズ、東京特派員
 http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-35529672

 一部分を紹介する。
 『捕鯨は、日本の食料確保になんら影響がなく、世界からは激しく非難されている。もちろん経済的な理由もない。それでも日本が捕鯨をするのはなぜか。日本政府の答えは、捕鯨が日本の伝統文化に基づくもので、日本の漁師は何百年にもわたってクジラを捕獲してきたし、何を食べていいか悪いかを外国人に指図されるいわれはない、というものだ。

 ある政府高官がかつて私に「日本人はウサギは絶対食べない。だからといって英国人に食べるなとは言わない」と語ったことがある。なので私は、ウサギは絶滅危惧種とは言えない、と指摘しておいた。

 それでも、(日本)政府の言い分に理がないわけではない。
 海岸地域に住む多くの日本人が何百年も捕鯨を行ってきたのは確かだし、今も続けられている。和歌山県太地は毎年のイルカ漁で有名だ。有名どころか、悪名高いと言う人もいるかもしれないが。千葉県や東北の石巻などでも沿岸捕鯨が行われている。

 なので、確かに沿岸捕鯨は日本文化の一部だ。ノルウェーやアイスランド、カナダ北部の先住民イヌイットたちと同様に。しかし、地球の反対側の南極まで船団を送り、捕獲したクジラを処理する母船まで持っているのは日本だけだ。・・・』

 日本政府は【沿岸捕鯨は日本文化の一部】ということを国際的に主張する為に多額の労力と経費を使用しているようだ。おかげでBBCの記者からも『確かに沿岸捕鯨は日本文化の一部だ』と理解いただいたらしい。

 さて、前回のブログで紹介した畠山さんの本年鮭漁での警官の押し問答だが、畠山さんの主張は『アイヌにそんなものは必要ない』、『先住民族が持っている権利、紋別に住んでいるアイヌが何百年、何千年と鮭を捕ってきた権利で鮭漁をしているだけ』というものだ。

 仮に日本政府が【沿岸捕鯨は日本文化の一部】として認め、【畠山さんのようなアイヌが、地元河川で何百年、何千年と鮭を捕ってきた権利】を認めないのであれば、現在においても【アイヌは法的には等しく国民でありながらも差別されている】ことになるだろう。

 だが、その心配は杞憂(無用)なのかもしれない。
 北海道内水面漁業調整規則という法律上は、違法と思える畠山さんの鮭漁であるが、恐らくは、国(内閣府)、オホーツク総合振興局、北海道警察の3者による連係プレーで【アイヌ(先住民族)の鮭漁(捕獲)を容認した】可能性があるのだから。

 ただし、その手法は、結果的には【不法な行政行為】だ。このオチは最悪だ。
 畠山さんの主張については、正式に国(政府)から回答をもらう必要があるかもしれない。

 再述するが、国(内閣府)のアイヌ政策推進会議・政策推進作業部会の開催趣旨は、2009年有識者懇談会報告書などを踏まえ、アイヌ政策の推進を図るためとされている。

 そして、同報告書では「…憲法第 14 条の平等原則に反するのではないか、という指摘がある。しかし、事柄の性質に即応した合理的な理由に基づくものであれば、国民の一部について、異なる取扱いをすることも、憲法上許されると一般に解されており…」とされている。

 木村さんの考えは、当該報告書を取りまとめた委員である常本氏は、現在、政策推進作業部会部の会長である。何とか頑張ってもらって【アイヌ(先住民族)の鮭漁(捕獲)を容認】する合法的な手続き(立法を含む)を検討してほしいというものだ。常本氏の健闘に期待したい。
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