2006/6/24
長崎平和推進協、「政治発言自粛」文書を撤回
長崎市の外郭団体・長崎平和推進協会(横瀬昭幸理事長)が、「語り部」を務める被爆者らに「政治的発言」の自粛を求める文書を出していた問題で、同協会は24日、文書の撤回を決めた。文書に対し、全国から質問や撤回要請が相次いだため、「文書が残れば今後の活動に支障が出る」と判断したという。
同協会は24日、証言活動をする被爆者38人が所属する「継承部会」の総会を開催。「文書はない方がいい」という意見が多数を占めたため、理事会から対応を一任されていた奥村英二・事業推進委員長が撤回を決めた。奥村委員長は記者会見で「文書には被爆者への信頼感が欠けており、8項目を例示したのも、その内容も安易だった」と述べた。 続きを読むへ →
同協会は、イラクへの自衛隊派遣や憲法改正など、意見が分かれている政治的問題について発言を自粛するよう求める文書を1月、継承部会の被爆者に配布した。修学旅行などで証言を聞いた学校から「主張が偏っている」との指摘があったためだという。
これに対し、被爆者らから「言論の抑圧だ」などと批判する声が上がったほか、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)からも「被爆者の平和への願いや誠実な話を規制することになり、協会の目的に反する」と指摘する公開質問状が寄せられた。このため、横瀬理事長が5月上旬、奥村委員長に事態収拾を依頼していた。
〈キーワード:被爆者への「政治的発言」自粛要請〉
長崎平和推進協会が1月、証言活動をする同協会継承部会の被爆者に行った要請。「より良い『被爆体験講話』を行うために」と題した文書では、「国民の間で意見が分かれている政治的問題についての発言は慎んでほしい」としたうえで、(1)天皇の戦争責任(2)憲法(9条)改正(3)イラクへの自衛隊派遣(4)有事法制(5)原子力発電(6)歴史教育や靖国神社(7)環境や人権など他領域の問題(8)一般的に不確定な内容(劣化ウラン弾問題など)――の8項目を例示した。
asahi.com 2006年06月24日21時53分

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