被告の裁判資料を紛失
徳島刑務所、別の収容者に渡す
2012年8月20日 朝日新聞
徳島刑務所(徳島市)が、勾留中の男性被告(63)宛てに弁護人から郵送された裁判資料などを、誤って別の収容者に渡し、一部を紛失させたことが分かった。
弁護人は「被告と裁判の打ち合わせもできない」と批判。国家賠償請求訴訟を検討している。
20日に徳島市内で会見した弁護人によると、徳島県阿波市の会社会長の脱税事件に絡み、7月17日、共犯とされた税理士らの供述調書などを段ボール箱に詰め、被告の会長宛てに郵送した。その後、会長と計6回接見したが、書類は届かなかった。しかし、刑務所を出た収容者から8月16日に「書類を持っている」と電話があり、事態が発覚。同19日に刑務所が書類を回収したが、裁判の証拠の目録36枚が紛失していた。
会長は起訴内容を全面否認しており、弁護人の中田祐児弁護士は「ずさんな対応で、個人情報の流出も前代未聞」と指摘。徳島刑務所は経緯を調べる方針で、辻本隆一所長は「ご迷惑をかけ、大変申し訳ない。調査結果を踏まえて事務手続きを見直し、再発防止に努める」との談話を出した。

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