薬物更生プログラム導入へ
初犯対象に全国初
覚せい剤や大麻など薬物の乱用をくい止めようと、県は新年度、薬物使用で検挙された人のうち、初犯者を対象に、独自の更生プログラムを導入する。県薬務課によると、薬物使用の検挙者を対象に自治体が更生事業を行うのは全国で初めて。
県内の薬物犯罪では検挙者の約半分が再犯者で、再犯防止が大きな課題だ。ただし、初犯の場合、起訴されても、執行猶予付きの判決になるケースがほとんど。実刑判決を受けた場合、刑務所や保護観察所で更生プログラムを受ける。一方、執行猶予の判決を受けた人は社会復帰し、地域の中で自身や家族の力で更生することになるが、誘惑に負けて再び薬物に手を出してしまう恐れがある。
計画によると、更生事業は、県が専門の民間団体に委託。少人数のグループで体験や考えなどを話し合い、薬物への考え方を変えていくという。年間20回の実施を予定。初犯者の起訴後、判決が出る前に職員などが本人にプログラムを紹介し、希望すれば、判決後に無料で受講できる。
薬物検挙年260人 県内の薬物犯罪の検挙者は、年間260人程度。うち9割は覚せい剤関連だが、近年は大麻の摘発も急増している。インターネット上の売買など入手方法も多様化し、県薬務課では「若い人がファッション感覚で手を染めるようになり、予断を許さない状況」としている。薬物使用者は精神的、肉体的な「薬物依存」から、幻覚や妄想が生じる「薬物中毒」に陥る恐れがあり、同課は「依存度の低いうちに回復を支援し、薬物乱用者の減少につなげたい」と話している。
こうした県の取り組みについて、薬物依存症者の家族らでつくるNPO法人「全国薬物依存症者家族連合会」(小山市、会員約250人)は「初犯という早い段階で治療に結びつく機会を与えることを評価したい。行政がかかわってくれることで、再乱用を防ぐ第一歩になってほしい」と効果に期待している。
(2009年3月30日 読売新聞 地域>栃木)

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