アップリカ製ベビーカー11人けが
ハンドル付け根破損

アップリカ・チルドレンズプロダクツ(本社・大阪市)製のベビーカーで05年9月〜今年8月、ハンドルの付け根が折れる事故が少なくとも11件起き、乳児10人と母親1人が軽いけがをしていたことがわかった。経済産業省は、同社製品の強度に問題がないか調査を始めた。
アップリカ社が今年9〜10月に経産省所管の独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)に届けた報告では、東京都で8月2日、使用中のベビーカーの左右のハンドルの付け根が折れ、乳児が下に落ちて額にあざができた。ほかに、付け根が折れた弾みで、乳児が顔や頭にけがを負ったり、母親が転んだりしてけがを負う例もあった。
同社は朝日新聞社の取材に対し、「製品名は、事故の原因究明が終わっていないので控えさせていただく」とし、「製品に原因があるのか、長年使ったことによるのか、その他に原因があるのかは確認できていない」という。
経産省製品安全課によると、ハンドルの付け根は元々、段差で前輪を持ち上げるときなどに負担がかかる。さらに、全体を持ち上げるとき、本来つかむべきひじ掛けの下でなく、ハンドルをつかんだり、ハンドルにフックを付けて重い物を下げたりすると、想定以上の負担がかかるという。メーカーもこうした使い方をしないよう、取扱説明書などで注意している。
NITEは死亡や重傷(全治30日以上)などの重大事故以外の報告を受け付けているが、報告そのものは義務ではない。他社が単なる故障として報告していない恐れがあることから、経産省は他社製のベビーカーでも同様の事故例がないか報告を求める。
アップリカ社は4月、旧会社から事業を譲渡され、社内体制の刷新や法令順守の強化に取り組んでいる。その中で今回の事故をNITEに届けた。背もたれや座面を支えるハンドルサポート部のネジの緩みや脱落によって07年3月〜今年6月に7件の事故が起き、重傷1人を含め乳児7人がけがをしたとして、7月には283商品計61万台をリコール(無償点検・修理)すると公表している。(茂木克信)
アサヒ・コム 2008年11月25日

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