派遣法
日弁連「抜本改正を」
違法労働行為の温床
日本弁護士連合会(日弁連)は一日、派遣業界大手グッドウィルの廃業を受け、労働者派遣法の抜本的見直しを求める宮崎誠会長の声明を発表しました。
国に対し、グッドウィルの派遣労働者の雇用と生活の安定のため措置をとるとともに、「日雇い派遣の禁止や均等処遇にとどまらない派遣法の抜本改正を早急に行うことを求める」としています。
声明では、禁止された港湾業務に二重派遣した違法性は極めて大きく、厚労省が許可取り消しに踏み切る方針を固め、廃業の道筋をつけたことは当然だと指摘。そのうえで、職業安定法では、労働者供給を禁止して直接雇用を原則とし、職業紹介は営利を前提としない公共的な制度にゆだねていると指摘。現行の派遣労働はこの例外として許容されたものの、雇用責任があいまい・不明確になりやすい構造的な問題があり、グッドウィルが違法行為を行う温床となったと強調し、抜本改正を求めています。
日弁連は、二〇〇三年に製造業への派遣が解禁されたときにも反対の意見書を出しています。
2008年8月2日(土)「しんぶん赤旗」
会長声明集
労働者派遣法の抜本的見直し等を求める会長声明
昨日、派遣業界最大手である株式会社グッドウィル(以下「グッドウィル」という。)は有料職業紹介事業及び一般労働者派遣事業を廃止した。
グッドウィルは、本年6月24日に職業安定法違反幇助により略式起訴され、すでに有罪判決が確定している。昨日のグッドウィルの廃業表明は、有罪が確定した場合には会社が廃業しない限り労働者派遣事業許可を取り消すとの方針を厚生労働省が固めていたことを受けてのものである。
報道によると、グッドウィルは、労働者派遣が許されていない港湾作業に従事させる目的で港湾関連会社を通じて別の港湾荷役会社に二重派遣するという職業安定法違反の労働者供給事業を行った行為に対し有罪判決を受けたものである。派遣業の業界最大手であるグッドウィルが、労働者派遣を明確に禁じている港湾荷役業務に労働者を派遣し、そればかりか雇用責任が一層曖昧となることから厳しく禁じられている労働者供給(二重派遣)形態で、港湾荷役という危険作業に従事させたことの違法性はきわめて大きく、厚生労働省が、グッドウィルの許可取消しという厳しい処分に踏み切る方針を固め、昨日のグッドウィル廃業への道筋を付けたことは当然である。
そもそも、職業安定法は、事業主が雇用する労働者を他人の指揮命令下で就労させる労働者供給形態を禁止して直接雇用形態こそが原則であることを示し、あわせて、職業紹介は営利を前提としない公共職業安定所による公共的な制度の下に委ねたものである。
現行の「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)は、このような直接雇用原則に対する例外として派遣労働を許容したものであるが、雇用責任が曖昧・不明確になりやすいという構造的な問題があり、業界最大手のグッドウィルが危険度の高い港湾作業に労働者供給を行うといった違法行為を組織的に行う温床となった。
当連合会は、国に対し、一日平均7000人にも及んでいたグッドウィルの派遣労働者の雇用と生活の安定のため必要な措置をとるとともに、日雇い派遣の禁止や均衡処遇にとどまらない労働者派遣法の抜本的な改正を早急に行うことを求める。
2008年(平成20年)8月1日
日 本 弁 護 士 連 合 会
会 長 宮 崎 誠

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