「精密検査必要あった」「遺憾」の報告書
・・・富山刑務所受刑者病死
富山刑務所(富山市西荒屋)の男性受刑者が、検査で肺に異常が見つかりながらも精密検査を受けられず、約10か月後に末期がんで死亡した問題で、同刑務所などが「結果として本人の容態が急変するまで、精密検査を実施しなかったのは遺憾」などとした報告書をまとめたことが17日、わかった。問題を指摘した富山刑務所視察委員会(委員長=福島武司弁護士)が2月に示した事実関係を認める内容で、委員会の委員らにも報告、今後の改善策を示した。
報告書は、名古屋矯正管区などとまとめた。報告書では、「精密検査の必要性を認識していた以上、早期に精密検査を行う必要があった」と指摘。また、十分な終末期医療がされなかった点について、「鎮痛剤の痛み緩和や外部病院での内視鏡検査などの医療措置を行い、刑の執行停止に向け検察庁と協議し、医療重点施設である刑務所への移送協議を行ったが、実現されなかった」とした。
改善策については、医師から検査指示があった場合、「要検査者名簿」を作成し、毎日、所長決裁を受けることで検査の要否などを把握するとした。さらに、定期健診も毎月2回、非常勤医師が診断し、確実に年1回以上実施。終末期医療についても嘱託医と協議し、すぐに病院移送する体制を整えることにした。
委員会が2月に公表したところによると、男性受刑者は同刑務所に移送前、別の収容施設のレントゲン検査で、肺に影が見つかり精密検査が必要とされ、その後も少なくとも4回診察を受け「要診断」などとされた。しかし、精密検査は受けられず、約9か月後に倒れ、末期がんであることが判明したが、既に全身に転移。終末期医療を受けられないまま、1か月後に消化器がんで死亡した。
こうした内容について、男性受刑者の遺族にも報告し、心痛をかけたことについて、おわびしたという。
同刑務所の倉本修一所長は、「委員会の意見を施設運営に反映させるよう努めるとともに、適正な施設運営、被収容者処遇の充実に努めたい」とコメントした。
(2008年6月18日 読売新聞>地域>富山)

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