□天翔ける夢の白鳥追ひかけて河内大和の物語編む□
□NHKの「ルソンの壺」という大阪発のビジネス番組がある。そこで元気な大阪の中小企業の経営者が、この大変な百年来の経済危機の乗り切り策などを語り合っていた。もちろんそんなに簡単に不況乗り切り策などあるはずもないが、関西には関西のメリットがあるという。それを最大限に活かしていく必要があるということである。
□旅館業、酒造業といった人々が語り合っているのだが、関西には話のネタやストーリーがあるという。有馬の旅館業者は「昭和レトロ」をコンセプトに大改装を行い、昭和初期の雰囲気を再現しつつ、そこで作家たちと有馬温泉の関わりを彷彿とさせるようにしたのである。
□いかにディズニーランドが頑張っても古都「京都」の集客力にはかなわない、そこには物語りがたくさんあるからだ。やはり観光となると、話のネタが多いことが必要だし、イメージが鮮烈であることが大切である。ビジネスのコンセプトが「物からコトへ」へということは、そういう物語を観光資源として活用しようということである。
□そういう意味では京都・大和ばかりではなく、我々の地元河内にも多くの物語があり、これを掘り起こして、観光資源にしない手はない。
□その最も目玉は幻の湖「河内湖」の伝説である。それが白鳥の湖だったということである。物部の兵士たちは戦場で斃れて、白鳥になってふるさとの河内湖に舞い戻っていたという伝説だ。これをベースにしてヤマトタケルの白鳥伝説がある。これは大鳥神社や百舌鳥古墳群、大和川、河内湖あと古市古墳群などを包括するわけである。
□さらに白鳥は飛び立って河内葛城に向かう、そこで葛城氏の高額姫に憑依して、生まれたのがオキナガタラシヒメであり、彼女は白鳥に導かれてヤマトタケル息子のところに導かれ、朝廷内の内紛から筑紫に逃れて、新羅を征討して、その勢いで大和を攻略する。この話は私の創作部分が加味されているが物語としては鮮明である。その際胎内で新羅攻めをしたというのが応神天皇で、これが八幡神である。その神社はたくさんある。
□さらに大川は河内湖と大阪湾をつなぐ堀江であり、応神天皇の息子の仁徳天皇が作ったといわれる。これが難波津となり、大和がシルクロードの東端になるきっかけをつくった。そしてここに都が築かれることになる。
□もちろん史実としては証拠はないものも多く、証明できないが、物語として定着させ、それをネタにしたサービスや商品を作り出すことはいくらでもできるはずである。観光資源としてはかなりの機能を果たすのではないだろうか。
□私も摂津・河内で生活させてもらっている以上、物語づくりの面で恩返しをして、この未曾有の経済危機に立ち向かい、関西圏浮上に少しでもお役に立ちたいと思っている。
□拙著『梅原猛 聖徳太子の夢ースーパー歌舞伎・狂言の世界』もその一環としての役割も籠められている。

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