最近仕事場のPCでデスクトップの壁紙にしていた作品。

1851-52 「Jeunes filles du village」
非常に目に留まる青空。太陽の光に満ちている穏やかな風景、前に損保ジャパンの美術館で観たときもクールベの空の青は抜群に発色が高く、堅牢といっても良いほどしっかりとモデリングされているにも関わらず透明感が作り出されていて印象に残ったが、おそらくこの作品も同様にすばらしいものだと思う。
穏やかで何の変哲もない風景と明るい天候の中にいる人間たちと動物たち、その中で作られている関係性のドラマは、限りなく平凡なものであるにもかかわらず、どこか抽象的で神話的なものを感じさせもする。それはパゾリーニの初期の映画作品などイタリアのネオリアリズムなどと共通した雰囲気を感じたりもする。(僕だけかも。。)
この作品はクールベの妹たちをモデルにして作られていると言われている(施しを受けている少女以外の3人が姉妹)。クールベはここで3人の心理描写をあからさまに描きわけている。そして、それをさらに面白くしているのは人間たちの中で起こっているドラマと、動物たちのドラマ(犬と牛)の対比である。それは、ストレートでありながらも複雑で非常に皮肉めいたユーモアだ。(実の妹をモデルに使っていると聞くとさらに!偉大なる嫌なやつ!)
また、道の表現や丘の向こうに見える雲などが、この絵の前後の時間を非常に巧みに演出させている。それは空間の閉じさせ方、開き方、遠近法を作りながらも地面の高低差や草などの色彩による曖昧な表現を巧みにまぜあわせ利用することで、この絵に時間の不確かさを作り出していると言えるだろう。