免許の更新のために、もしくは取得のために、運転免許センターに行くとある種異様な感覚にとらわれる。地域差はあるだろうが、千葉で更新を行った時も、府中で更新を行った時も、なかなかの違和感。
年齢、所得、職業、趣味などのさまざまな階級は一切無視され、集められた大勢の大人たちが、整列させられ、ベルトコンベアー式に一連の検査なり手続きを進めていく。
そこで働く整備員なり公務員たちの表情や態度には、来ている人間を人間として認識していないことがあからさまにあらわれている。それは一人ひとりを人間と扱っていたらやっていられないからだが、彼らを見ているとある種のグロテスクさを感じさせる(もちろん彼らは仕事が終わればすぐに普通の表情に戻るはずだ)。大げさだが、アウシュビッツ強制収容所に送り込まれた時とはこんな感じだろうかと考えさせなくもない。あの特殊な建築を巡らせる印象が、その感覚をさらに強くしているといえる。
不快感を感じながらも、ふと、これほど近代的なシステムを肌で感じさせる機関というのは、一般的にはあまりないだろうと考えた。一連の手続きを済ませたあと見せられる規律訓練としてのビデオも含めて、あそこは非常に近代的な機関だと思う。
運転免許センターはけして好きにはなれないけれど、今の時代において、あの強引なまとめ方と束ねられ方が行われる特異な空間は、ある意味では結構貴重な場所(批判的にではあれこういう体験ができる場所として)と捉えられるかもしれない。
