
Michael Sailstorfer
Zeit ist keine Autobahn, Berlin - 2006
高速回転。
こいつぁ、轟音が会場に響き渡っているはずだ。
危険なにおいがぷんぷんするぜぇ。
タイヤの焼ける臭いが興奮させるだろうな。
へへへ。
死、俺はこいつに死を感じるぜぇ。
このスピードにか?
それともこのタイヤの磨耗にか?
こいつはもしかしたら
俺が感じるスピードと、タイヤの磨耗、
その2つの時間感覚を問題にしてるんじゃねぇか。
ただ物が回転してるわけじゃねぇんだよ、
そうさこいつは車のタイヤさ、
だからこのスピードはただ物が高速に回転しているっていう
即物的な感覚以上の感覚とイメージが含まれてんだぜ。
そりゃ、わかってるよな!
ホントか、ホントなのか?
しかもタイヤが、均質に削れてるわけじゃねぇだろうから、
高速回転するタイヤの表面は、飽きることのない表情を
見せているはずだ。つまりループなきループだろ。
・・・・・。
しかもよ、こいつはよくわかってるよ。
だってよ新品のタイヤ使ってないんだぜ。
古タイヤ。いやぁ〜このホイールの古さも効いてるねぇ!
そう、こいつは新品のタイヤじゃダメなんだよ。
効果半減なんだよ、わかるかぁ〜。
見ろよ、下に落ちてる削れたカス。
この黒さだよ、黒さ。
このコントラストだよぉ!
あるだろ、表面削ると新品の頃の新しさが戻ってくることが。
だから、新品じゃわからねぇだろう〜。
ここにもひとつの時間性らしきもんが見えるんじゃねぇのかっ!
なんつって。
つまりよ、複数の位相における時間の持続が、
複数の感覚を刺激され、また配置されて見えるようになってる。
この機械はそれを圧縮させてるんだろうっ!
まぁよ、この機械は
Robert RauschenbergとJohn Cageの『Automobile Tire Print』を
意識してんじゃねぇかな〜。
その解釈は無理やりかっ。
少なくともRauschenbergは意識してるよな。
この壁にゴツンと取り付けられた感じは、
Rauschenbergだろ。
認めろよ〜。
知ってんだぜ、こいつ他ではパロディ系の作品も作ってることは。
なんにせよ、
ビンビン感じるこのヘンテコな機械は、
地味かもしんねぇけどよ、
やってくれたと思うぜ。