昨日観たアニメのご紹介。このアニメは2003年に作られたフランスの映画である。この映画の監督シルヴァン・ショメは、アニメーション作品が二本目、長編は今回が初めてであるにもかかわらず、この作品は高い評価を受けている。
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id320220/
実際見てみると、確かに細部まで徹底し作り込まれている非常に完成度の高い映画だった。そして、この「ベルヴィル・ランデブー」の印象はDVDの特典映像の中にある監督が、非常に作り込まれているにも関わらず軽さを持っているもの、と言った事に集約されていると思う。それは映画の中で使われているスイング・ジャズについての言葉だが、映画全体の印象についても同じ感じがした。
絵的にも、物語的にもさらりとした軽さを持ちながら、もしくはウィットなジョークのような印象を持ちながらも、非常にディティールが効いている。高畑勳はそれが宮崎駿と共通した性質だと言っているんだろう。
DVDの特典映像の中には、試写会での監督の挨拶と高畑勳と監督の対談が入っているがこれもなかなか面白かった。作り手向けって感じがしたけれど。高畑勳は非常に厳しい人だと、対談でそれがひしひしと伝わってきた。ただ彼の指摘は僕もほぼ同じ事を考えていたし的確ではあると思う。
さて、いったいなんでこの作品について書こうかと思ったか。もちろん作品が素晴らしかったからだが、ショメ監督が自分のような超大作でも、ハリウッド作品でもない映画が見られる為には、観客の口コミが非常に重要になってくるんだと言っていたからだ。
日本のアニメーションは非常にレベルが高いというのもわかりながらも、アニメーション形式(内容にしても、表現形式にしても)の可能性において、日本ではこういった作品が(高畑勳を例外として)まだあまりでてきていないのは確かで一見の価値はあると思う。それは、アニメの商業化の発展が著しい中で、表現形式に様々な制約が入っているからだと思える。これは、yahoo!の動画で特集されていたユーリ・ノルシュテイン等のロシアのアニメーションを見ても、アニメーションの形式的(内容も含めた)な豊かさが日本において、いかに切り捨てられているかがよく分かる。もちろん一方的に悪い事だとは言えないけれど。
それとアニメと言えば、「キング・オブ・ザ・ヒル」というアメリカのアニメは、まだあまり見ることができていないんだけれど(DVDがレンタルビデオショップにないので。)かなり質が高いと僕は思う。