美術館は、安くない。にもかかわらずやはり眉唾でも気になったら足を運んだほうがいいと最近つくづく思う。後々になってなんで俺は行かなかったんだと自分を責めるくらいなら。そうでなくても、やはりネットや画集で作品を確認しているということが以下に危険かが展示をまわるとよくわかる。
昨日は損保ジャパンの「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」となんとも漠然としたタイトルの展覧会と、東京国立博物館の「ベルリンの至宝展」を見に行ってきた。
最近は画集でここらへんに出されている作家の画集をしばしば見ていたのだけれど、やはり本物はまったく違うのと、やっぱり画集では描き方まではわからないというのが良くわかった。画集やネットで作品を見ていると、作品ディティール、スケールや絵の具などが持っている魅力、強度みたいなものがそぎ落とされているから、作品は逆に以上に見やすい。画像としてすっと見えてくる。けれども実際は、そんな風に作品ができていないことに驚くことがある。
僕が画集で気にしていたことはもしかしたら、その作家の問題においてもしかしたら些細なものだったのかもしれないと逆にすごく反省させられる気がした。
今回の損保ジャパンは、展覧会としてとても優れているわけではないが、クールベの作品はとても良かった。最近の絵画展に比べてそれほど人気もないだろうから空いているだろうし、クールベの作品を見たければこの美術展はお勧めである。だいたいなんと美しい絵なのだろうと。色彩といい、画面の抵抗感といい、タッチといい、非常に魅力的である。基本的にクールベの作品で嫌いなやつは嫌いだったが、今回の作品は文句なく最高と思えた。また太ったおばさんを描いたものとセルフポートレイトのポーズとアングルのせいもあって不思議な空間が作り出されている。もちろんそれだけの問題ではない。クールベの肉薄した描き方によって物質性と空間のなんともいえない拮抗あり、見る者に相反したベクトルの視覚性を強いるからだとおもう。まぁぼくも良くわからないのでハッタリはこれくらいにしておこう。
とにかく「こんにちはクールベさん」も良かったがやっぱり本物を見ないといけないなとつくづく思った。いや、ほんとにこの絵も美しいです。
ベルリンの至宝展ではマネを見ることができたが、やっぱりこれもすごく良かった。この「温室にて」は、「アンチスペクタクル」という本でジョナサンクレーリーがこの絵について書いている。それはそんなに真新しい感じもしない論文であるが、僕的にはとても面白かったので見たかった絵でもあるのだが、その論文で書かれていることがどこまでマネが意識していたかはわからないが、確かにこの絵は変な絵であり、背景の処理の仕方は明らかにおかしい。また男性の感情ある表情に対して、女性にボーっとしてしまっている表情も明らかにおかしいし、にもかかわらず手袋を取って、指輪を見せているのも変だ。またこの絵の人間はほぼ等身大に描かれており、それもとても効果的になっている。そういった類のことがやっぱりこの絵が明るくも不気味に存在しているのが非常に面白いのだ。
これを読んでちょっと気になるのであれば、この論文を図書館などで借りて読んでみて、見てみるとすごく面白いと思いますのでお薦めします。
中途半端なコラムでしたがこの辺で。