今日は、天満橋の大阪合同庁舎で2013年版の中小企業白書説明会に行ってきました。
今年の中小企業白書ですが、4月26日に閣議決定されました。第1部が「2012年度の中小企業の動向」、第2部が「自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者」についてでした。さらに今年は1964年に中小企業白書が発表されてから50回目になることもあり、「過去50年の中小企業白書を振り返って」というのもあります。
第1部の「2012年度の中小企業の動向」ですが、傾向として昨年末あたりから持ち直しの動きが見られるとのことです。倒産件数については金融円滑化法の効果もあって前年比減少傾向です。金融円滑化法が3月で終了してこの後が不安ですが、4月についても前年比9.9%減少しているとのことです。
東日本大震災被災地の業況ですが、被災3県(岩手、宮城、青森)の業況DIの改善については昨年夏以降、足踏み状態になっています。また、被災3県の事業所数と従業者数の2009年から2012年にかけての減少率は、全国の減少率を上回っており、減少率の上位3県になっています。特に沿岸部の市町村では50%超の減少率になっているところもあるとのことです。
三大都市圏が所在しない道県とそれ以外の都府県における規模別の常用雇用者・従業者割合の比較を見ると、三大都市圏が所在する都道県は中小企業の従業者の割合が5割強なのに対して、所在しない道県は8割以上に及び、雇用における中小企業の重要性が大きいです。また、従業者規模別の管理的職業従事者に占める女性の割合は、規模の小さい企業ほど女性の割合が大きいです。
第2部ですが、今年の中小企業白書のキーワードは「自己変革」です。白書では企業の形態を事業経営方針として、「規模の拡大より、事業の安定継続を目指したい」と回答し、かつ、目指している今後の市場として、「同一市町村」又は「同一都道府県」と回答している企業を「地域需要創出型」とし、また、事業経営方針として、「規模を拡大したい」と回答し、かつ、目指している今後の市場として、「全国」又は「海外」と回答している企業を「グローバル成長型」としています。
そのように分類するとグローバル成長型は対民間事業者向け(B to B)の割合が大きいのに対して、地域需要創出型は三大都市圏中心市が存在しない道県内に多く所在していて、さらに女性起業家の割合が高い。また、起業年齢はグローバル成長型の方が企業年齢が若い傾向にあるとのことです。
さらに萌芽期、成長初期、安定・拡大期の3つの期における起業・事業運営上の課題について「地域需要創出型」と「グローバル成長型」との違いについて説明がありました。
新事業展開についてですが、新事業展開の検討を始めた時の業績傾向として、「好転していた」と「悪化していた」が拮抗しており、業績が好転し余力がある間に新たな収益源を確保しようとした企業と、業績が悪化している中で現状打開のために新事業展開を実施した企業の二者が存在することがわかります。
今後の新事業展開に関する意向は、新事業展開した企業は今後新事業展開を実施・検討する予定があるが6割を占めたのに対して、そうでない企業は予定が無いが9割を占めました。新事業展開を実施・検討する予定がない理由は、「有望な事業の見極めが困難」や「既存事業の経営がおろそかになる」という回答が多かったのですが、新事業展開した企業で実際に直面した課題ではこれらはさほど多くないという結果が出ました。
事業承継について、中小企業経営者の平均引退年齢は上昇傾向にあり、経営者の年齢が高齢である企業ほど経常利益が減少傾向にあります。事業承継の準備として、「後継者の資質・能力の向上」というのがありますが、中規模企業については、「後継者を支える人材を育成すること」や「役員・従業員から理解を得ること」も多いです。
情報技術の活用については2008年の中小企業白書に「中小企業によるITの活用」がありましたが、その5年後ということで状況分析がされています。2007年に比べてITを導入している企業の割合は高くなっていますが、小規模事業者については、「自社ホームページの開設」などの導入が遅れていることがわかります。ITの活用が必要と考えている企業に対して、実査愛にITを導入した小規模事業者は半分程度にすぎない状況です。ITの導入の効果が得られた理由のトップは「ITの導入の目的・目標が明確だった」がトップですが、特に小規模事業者については「経営層が陣頭指揮を執った」の割合が大きいです。
1時間半ほどであっという間でした。中小企業診断士試験では2012年版が中心でしょうし、今回の説明会は受験用では無いので、必ずしもそのまま試験に役立つととは言えない部分もあるでしょうが、資料を自分で黙読するよりは、こういった説明会の発表を聞く方が理解が深まるし、概要については頭に残るような気がしました。
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