今日は全国中小企業政策検討会に行ってきました。昨年10月以来の参加でした。
今回は、「最近の中小企業・小規模事業者政策について」と題して、中小企業庁 長官官房 参事官の桜町道雄氏による話でした。会場は堂島のNSE貸会議室でした。
まず、「中小企業・小規模事業者の現状」という内容でした。
景況感に関しては改善傾向にあり、中小企業の経常利益は過去最高水準になっています。しかし、中小企業。小規模事業者の数は減少が続いています。企業の倒産件数は減少していますが、休廃業・解散件数は高止まり傾向です。これらは後継者がいないという原因が考えられ、生産性を押し下げる結果になっています。日本は国際的に見て開業率が低いのですが、起業に関心を持った人が実際に起業に至る割合はアメリカ並み、欧州より高い結果が出ています。起業への関心を高めることが必要です。
中小企業の経営者年齢分布を見ると山は20年間で47歳から66歳に移動しており、これは農家の平均年齢と変わらないそうです。また、60歳以上の経営者の内、50%超が廃業を予定しているのですが、その内28.6%が「子供に継ぐ意思がない」、「子供がいない」、「適当な後継者がみつからない」といった後継者難を理由にしています。
中小企業の売上高、生産性は伸び悩んでいます。しかし、製造業で約1割、非製造業で約3割の中小企業が大企業の平均以上の生産性をあげており、これらの企業は設備投資やIT投資等に積極的で、一人当たりの賃金が高い傾向が伺えます。
後半は「中小企業・小規模事業者政策の概要」でした。
まず、「かせぐ力」である「経営力強化・生産性向上」に向けた取組」として、中小企業等経営強化法の機能強化があります。昨年7月に施行された中小企業等経営強化法は、経営力向上計画を作成して主務大臣の認定を受けると機械装置やソフトウェアの固定資産税が3年間1/2となるものです。従来の税制優遇は主に法人税の優遇でしたので、全体の7割を占める法人税を払わない赤字企業にとっては意味のないものでした。今回、この中小企業等経営強化法の優遇税制を商業やサービス業にも拡充して、ルームエアコンやサーバーなどの器具備品、エレベーターや空調設備などの建物附属設備にも適用するものです。
経営力向上計画の申請書類は実質2枚で可能という触れ込みでしたが、昨年7月から今年3月31日の時点で18,242件が認定されています。要は「中小企業・小規模事業者の現状」にもありました設備投資やIT投資を活発にして生産性を上げてもらおうという狙いがあります。
従来の経営革新支援は、経営革新計画を承認するのは都道府県知事となっており、支援メニューは今ひとつ揃っていないとのことでした、しかし、承認が目的ではなく、経営革新計画から実行に至るプロセスが大事とおっしゃられていました。
それから、「事業承継の支援体制」として、「経営承継円滑化法」によって、株式等を承継した場合、非上場株式等に係る相続税や贈与税の納税が猶予される施策や遺留分による株式の散逸を防止するための遺留分に係る民法の特例があります。また、新たに創業する者や事業承継を行うものに対して、その創業等に要する経費の一部を助成する「創業・事業承継補助金」というのがあります。
最後に「下請取引対策による取引条件改善」の施策ですが、昨年9月15日に未来志向型の取引慣行に向けての「世耕プラン」で、3つの基本方針と本来は親事業者が負担すべき費用等を下請事業者に押しつけることが無いよう、「価格決定方法の適正化」、「コスト負担の適正化」、「支払い条件の改善」という3つの重点課題が発表されました。
また、昨年12月14日に50年ぶりに中小企業庁と公正取引委員会において、「手形支払に関する新たな通達」がなされました。そのポイントですが、
@下請代金の支払いは可能な限り現金で。
A手形等による場合は、割引料を下請事業者に負担させることがないよう、下請代金の額を十分に協議する。
B手形サイトは120日(繊維業においては90日)を超えてはならないのは当然として、将来的に60日以内とするよう努める。
の3点で、親事業者のうち大企業から率先して取り組んで頂くとのことでした。
中小企業庁の参事官の方の話が聞けるということで、50人ほどの参加がありました。桜町さんのお話はわかりやすく、レジュメも図表や事例が多く載っていましたので、私のような者でもよく理解できる内容でした。
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