今日は天満橋のOMMビルでの中小企業白書と小規模企業白書の説明会に行ってきました。講師は中小企業庁 事業環境部 企画課 調査室長の伊奈友子氏でした。
中小企業白書と小規模企業白書はそれぞれ中小企業基本法と小規模企業振興基本法に基づき毎年発行される年次報告書であり、中小企業白書は53回目、小規模企業白書は2回目になります。
まず、中小企業白書ですが、第1部はいつものように「平成27年度における中小企業の動向」があって、第2部が「中小企業の稼ぐ力」の2部構成です。
第1部の主だったところは、倒産件数は7年連続で減少し25年ぶりの低水準、休廃業・解散件数も2年連続の減少でした。中規模企業は開業が廃業を上回り、小規模企業は廃業が開業を上回っています。都道府県別で見ると中小企業数の増加が多かったのは東京都、宮城県、沖縄県の順で、減少が多かったのは大阪府、新潟県、愛知県の順で製造業の集積が多い県が減少しています。
自営業主の高齢化が一段と加速し、年齢階層別では70代が最多となっています。
中小企業の経常利益は過去最高水準であるのに対し、売上高は伸び悩んでいます。要因別に見ると売上高が減少していますが、変動費と人件費の減少でプラスに転じています。
設備投資は伸び悩む中老朽化が進んでおり、設備年齢は1993年度の4.9年から2013年度の8.6年と1.8倍になっています。
中小企業の労働生産性の業種別平均は大企業におけるそれを下回っており、特にサービス業の労働生産性の平均水準が低くなっています。生産性の高い中小企業は設備投資やIT投資に積極的であることがうかがえます。
第2部では、まずIT投資に触れられていて、ITを活用している中小企業は活用していない企業に比べて、売上高及び売上高経常利益率の水準が高いです。
海外投資ですが、輸出する企業の方が労働生産性が高く、海外展開を行う企業は国内従業者を増加させている傾向にあります。
中小企業におけるBCP策定率は15%と取組が遅れています。
大企業が金融機関の借入などを活用しているのに対して、中小企業は金融機関借入れは増加していません。無借金企業が増加傾向ですが、投資に積極的で無いことに起因していると考えられ、適度な借り入れのある企業の方が収益力があります。金融機関は今後、事業性評価に基づく融資に重点を置く考えですが、現状は、財務内容、会社や経営者の資産余力を評価しています。
経営力については経営者が後退した企業の方が経常利益率が高くなっています。
小規模企業白書は第1部が「小規模事業者の動向」、第2部が「小規模事業者の未来」、第3部が「小規模事業者のたくましい取組」の3部構成です。
第1部では、売上が増加傾向にある小規模事業者の要因は得意先や固定客、商品・サービスの品質と信頼性を挙げているのに対し、減少傾向にある小規模事業者の要因は商圏全体の景気を挙げているのが多いです。
宣伝面では、ホームページが最も多く、インターネット受注している者でも、受注比率は低い傾向にあります。
経営計画を作成したことのある者は約5割で、動機は補助金申請で必要となったからが多いですが、経営方針と目標が明確になったという効果を感じています。
特許権や商標権を保有している小規模企業は6.0%と低く、知的資産を所有している小規模企業も25.1%と低いです。
人材育成に取り組んでいない小規模事業者は全体の6割に上り、理由として時間がないことが挙げられます。
事業承継で、後継者候補が見つからないとしている者の5割以上は、親族以外への事業承継について抵抗感を持っています。
人口1000人当たりの小規模事業者数では、情報通信業は大都市が郡部の約5倍であるのに対して、建設業は郡部が大都市の約1.6倍になっています。
第2部では、「業績傾向の良い小規模事業者の特徴」と「小規模事業者の多様な側面」の2章立てにになっています。
今年度も7月ごろに書店で発売されますが、インターネットでは既にアップされています。
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