今日は、名古屋商工会議所での「知的財産権制度説明会」に行ってきました。
全国各地で説明会が行われているのですが、講演項目は会場によって違います。講演項目の中で、私は「知っておきたい不正競争防止法と営業秘密の適切な管理」、「平成27年不正競争防止法の改正概要(営業秘密の保護強化)」の2つを特に聞いてみたかったのですが、12月14日に開催される大阪会場は9月11日の時点で満員になっており、名古屋会場が空いていたので2か月前に申し込みました。本来であれば、朝に新幹線で行くのですが、前日まで山口でしたので、前日に名古屋に泊まることにしました。
会場で受付をして、資料をもらいました。「説明会のテキスト(A4判)を配布いたしますので、手提げ袋などをご用意下さい」とあったのですが、資料がどっさりでした。
まず、午前中は「先使用権制度の概要」でした。ある技術等で特許を取得した場合、他社の実施を制限することが出来ます。しかし、デメリットとして、出願内容の公開が前提であるため、新たな技術を使用した模倣品が発生する恐れがあります。そこで営業秘密、いわゆるノウハウとして秘匿化する方法も考えられます。
ところが問題は発明してノウハウとして秘匿化した後に、他社が同一の発明で特許出願されてしまった場合です。ノウハウによって、事業を開始した後だった場合は既に公に知られているノウハウ(公知)ということで特許を取得出来ない可能性がありますが、先に事業準備を開始していたのに事業を開始していなかった場合は公知ではありませんから特許取得されてしまい、事業開始が出来なくなってしまいます。そこで、「他社が特許権を得た発明と同一の発明を、他社の特許出願時以前から、事業として実施または実施の準備をしていた場合には、その事業を継続(その特許権を一定の範囲内で無償で実施)することができる権利を「先使用権」といいます。
注意しないといけないのは、先ほどの「事業準備」は日本国内で行う必要があり、例えば日本国内で発明したとしても、製造を中国で行うような場合は先使用権の対象とはなりません。また、特許出願時の前に販売の事業準備を行っていたが、これから製造も行おうとする場合は、販売の先使用権は認められますが、製造の先使用権は認められません。また、先使用権制度は、各国で異なっており、輸出または輸入する場合にはその国の制度に注意する必要があります。
午後は、「知っておきたい不正競争防止法と営業秘密の適切な管理」でした。不正競争防止法第2条には「不正競争」の定義があって、他人の商品・営業の表示として需要者の間に広く認識されているものと同一又は類似の表示を使用し、その他人の商品・営業と混同を生じさせる行為の「周知表示混同惹起行為」(動くかに看板事件)、他人の商品・営業の表示として著名なものを、自己の商品・営業の表示として使用する行為の「著名表示冒用行為」(ラブホテルシャネル事件)、図利加害目的で他人の商品・役務の表示と同一・類似のドメインを使用する権利を取得・保有またはそのドメインを使用する行為の「ドメイン名の不正取得の行為」(電通ドメイン事件)などがあります。また、第16条から18条には「国際約束に基づく禁止行為」として、「外国国旗、紋章等の不正使用」や「外国公務員への贈賄」などがあります。これらには差止請求権や損害賠償請求権などの「民事的措置」、懲役や罰金などの「刑事罰」、その両方があるものがあります。
それから最後に、「平成27年不正競争防止法の改正概要(営業秘密の保護強化)」についてでした。改正法は今年の7月3日に国会で成立し、7月10日に公布され、除斥機関の延長(10年→20年)(公布即施行)を除き、来年の1月1日に施行されます。内容としては「営業秘密の転得者処罰の範囲拡大(3次取得者以降も刑事罰の対象となる)」、「国外犯処罰の範囲拡大(海外のサーバにおいて管理されている営業秘密が海外において不正取得した場合も対象)」「営業秘密侵害の未遂行為の処罰(不正アクセスは確認されたが、営業秘密たる情報の持ち出しの事実が確認できなかった場合)」などがあります。
今回の説明会は実務者向けとあって、多くの事例を用いた説明でした。私は中小企業診断士試験で経営法務が苦手でしたが、事例を用いて説明されると理解しやすかったです。
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