今日は、湖西線で安曇川へ行ったのですが、駅前に銅像がありました。
中江藤樹の像なのですが、中江藤樹は名前は聞いたことがあるのですが詳しくは知りませんでした。中江藤樹に関係のある施設もあり、少し時間もあったので歩くことにしました。
道を歩いていますと歩道沿いに「五事を正す」や「藤樹先生のことば」といった小さな案内板がありました。
国道161号線を横切ると道の駅があって、その斜め向かいには「ジャーン」と銅鑼が聞こえてきそうな龍の瓦のある塀がありました。
ここは陽明園です。陽明学を起こしたのは王陽明ですが、その陽明学の影響を受けたのが中江藤樹でした。王陽明の生地である余姚市と、中江藤樹の生地である安曇川町との友好交流を記念して建てられた中国式の庭園です。
その敷地内に「近江聖人中江藤樹記念館」がありました。
200円を払って中に入ると、女性が案内してくれました。まず、中江藤樹のオリジナルアニメを見ました。「あかぎれこう薬」、「馬方又左衛門」、「熊沢蕃山の入門」、「農夫の道案内」の4作でした。
「馬方又左衛門」の話ですが、加賀の飛脚を馬に乗せていった馬方の又左衛門が、家に帰りって馬を洗おうすると財布が1つ出てきて、中に二百両の大金が入っていました。又左衛門は驚いて
「さっきの飛脚が忘れたのに違いない」と思ったので、30キロも離れた宿へと引き返しました。そして飛脚に会って詳しく尋ねると、その大金は飛脚のものでした。二百両は大金でこれを無くすと死罪になるところだった飛脚はとお礼に別の15両渡そうとしました。
しかし、又左衛門は、礼はいらないと受け取ろうとしません。飛脚は10両、5両と減らして受け取らそうとしたのですが、又左衛門は受け取らず、結局、往復したのは自分の仕事ということで200文だけ受け取ったとことでした。
これを聞いて、昨日日記で書いた利権にまみれた性悪のマスコミと比較して、性善説である日本人を改めて感じた次第でした。
中江藤樹は小川村(今の高島市)で生まれますが、9歳の時に伯耆米子藩主・加藤氏の150石取りの武士である祖父の養子となって米子に行きますが、すぐに国替えとなり今の愛媛県の大洲に移住します。祖父が死去した後100石を相続しますが、高齢の母のことが気になって、最初は大洲に呼び寄せようとしたのですが、母は知らない所へ行くよりも小川村で全うしたいということで、藩に辞職願を出しますが、認められません。結局、死罪覚悟で脱藩し、小川村に戻りました。
小川村で私塾である「藤樹書院」を開きましたが、武士だけでなく農民や商人にまで広く浸透しました。教え方はそれぞれの教育レベルに応じた教え方をしており、そのことによって先ほどの馬方又左衛門のようなエピソードもあるわけです。
中江藤樹は今までほとんど知らなかったのですが、それもそのはず、戦後、教科書で取り上げられなくなったとのことでした。しかし、ようやく3年前に育鵬社の中学の歴史教科書で取り上げられるようになりました。中江藤樹の性善説に基づいた教えやその教えを受けた町人の話は、利権、損得で動く現在、子供に教える必要があると感じました。
近くに藤樹書院があるので行ってみて下さいということで行くことにしました。記念館の隣には中江藤樹を祀った藤樹神社がありました。
藤樹書院までの途中に玉林寺という寺があるのですが、そこに中江藤樹の墓があります。墓は3基あるのですが、左奥が中江藤樹の墓、右奥が母の墓、右手前が三男の墓です。
ここで先ほどの「農夫の道案内」を思い出しました。
一人の武士が、小川村の近くを通るついでに中江藤樹の墓を訪ねる際に、農夫に道を聞いたところ、案内してくれたのですが、途中で農夫は自分の家に立ち寄って着物を着替え、羽織まで着て出てきました。そして、中江藤樹の墓に着いたとき、藤樹を敬うために農夫はひざまずいて拝んだとのことでした。さすがに私はひざまずいて拝むことはしませんでしたが(笑)。
そして、藤樹書院に到着。隣にある案内書の「良知館」に入ると、案内の者が来ますので書院の中に入って待っていて下さいとのことでした。中に入ってしばらくすると爺さんが入って来ました。
中江藤樹が開いた藤樹書院の建物は明治に焼失して再建されたものです。そこには藤樹などの仏教で言うところの位牌に当たる神主が祀られています。建物は明治に焼失しましたが、神主は村民の手で守られました。神主の説明も受けました。
先ほども言いましたが、昨日、利権まみれのマスコミの利己主義的な態度に腹が立ったのですが、武士でありながら母のために無一文となって故郷に帰って来た中江藤樹はもっと多くの人に知られるべきものではないかと思います。自分も利己的な態度は戒めないといけないですし、そういう態度を取られて腹が立った時はまた行ってみたいです。
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