昨日は豊橋から浦和へ行って、とんぼ返りで名古屋で1泊しました。今日は栄ガスビルで開催されたSR/ISO26000(社会的責任)普及セミナーに出席しました。
ISO26000ですが、品質マネジメントシステムのISO9001や環境マネジメントシステムのISO14001に比べると馴染みは無いと思います。ISO26000は社会的責任(SR)についてのガイダンス規格です。ガイダンス規格はマネジメントシステム規格とは違って推奨事項の集まりです。ですから、定められた規格通りに行うことは強制されていませんし、審査を行って認証取得するというものではありません。
最近はCSR(企業の社会的責任)の言葉が広まりつつありますが、ISO26000で定義されているものは企業に限らずNPOなどすべての組織において必要な項目であり、SR(Social Responsibility:社会的責任)と呼ばれています。
ISO26000が定める7つの中核主題として、ガバナンス、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者に関する課題、コミュニティへの参画及びコミュニティの発展があり、これは企業に限ったことではありません。
私がISO26000に非常に興味を持っているのは「人権」の中で違法な差別の根拠に「年齢」があり、さらに人権に関する課題の「労働における基本的原則及び権利」の中に「機会均等及び差別の禁止」として「組織は自らの方針に、人種、皮膚の色、性別、宗教、国民的出身、社会的出身、政治的見解、年齢、障害などに基づく差別が含まれていないことを確認すべきである」とあります。ということは現在、日本で当たり前の様に行われている新卒優遇の採用や採用年齢に上限を設けたものは社会的責任上、やってはいけないことではないのかということだからです。
セミナーはまず、「今なぜSRなのか−社会環境の変化とSRの影響力及びその活用」と題して、日本総合研究所の足達英一郎先生による講演でした。CSRのSRの違いや日本のCSRと言われている近江商人の「三方よし」との違いなど興味深い内容でした。内容も良かったのですが、1時間の講演に対してスライドが表紙を含めて13枚にまとめてあって、それだけに1枚の説明が長いこともあって理解がしやすかったです。セミナーによっては、講師の方が少しでも多くの情報を詰め込みたいのはわかるのですが、スライド1枚平均1分ぐらいしか説明する無ければ私もなかなか理解しにくい部分があって、その後のスライドの理解にも影響してくることがあります。手短に説明することが相手に理解してもらえることだと感じました。何?お前が書いてるブログももっと手短に説明しろだと?失礼しました(笑)。
次は損保ジャパン日本興亜の関正雄先生による「SRによる取り組みが新たな活力を生み出す」と題しての講演でした。主にCSRの観点から最近のトピックスやマイケル・ポーターのCSV(共通価値の創造)、Yahoo!ジャパンやナイキの取組などについてお話がありました。
最後は「「社会課題の解決を目指して」NPO/NGOとSR、ISO26000」と題してCSOネットワークの黒田かをり先生による講演でした。ISO26000は企業のCSRに限定されるものでは無く、企業に限らず、市民、NPO、行政などが協働して地域の問題を解決するという取組についてお話がありました。
最後の30分は質問の時間だったのですが、質問用紙に質問事項を記載する方式でした。私は今の企業の採用の仕方の是非について質問用紙に書いたのですが、それ以外にも多くの質問が寄せられたようです。挙手して質問する場合だと質問しなかった人も質問用紙に書かれたのではないかと思いました。
私の質問に対して「採用の年齢制限や新卒優遇採用は好ましくない。採用は多様化されるべきでアメリカでは卒業後社会経験をしてから就職する場合も多い。ただし、日本の企業も雇用の流動化で中途採用や第二新卒で間口を広げつつあるのではないか」という回答を頂きました。正直なところいなされるような回答になるのではないかと思っていたので、ここまで突っ込んだ回答をして頂いたことは正直意外でした。
今回のセミナーですが無料であり、定員は120人あったのですが、参加されていた方は40人程度でした。やはり、多くの企業は客先などから認証取得を求められているISO9001や14001には興味を持たざるを得ないが、ISO26000は強制では無いため興味が無いのではないか、そしてISO9001や14001は経営に欠かせないマネジメントの一つと考えているのではなく、認証取得といった結果のみを求めている企業が多いのではないかと感じました。
そして、会場の後ろに書籍が置いてあったのですが、ISO26000に関する書籍は1冊のみでそれ以外はISO26000が制定される前に出版されたCSRの本であることやアンケートは会社の業種など会社情報を聞く項目が多く、一番企業のCSRから抜け出ていないのは日本規格協会ではないかと感じました。
このセミナーは大阪でも12月5日に天満研修センター(前のフィリップス大学日本校)で開催されます。最初の足達先生以外は他の方が講演されますので、既に申し込んでいて行く予定にしています。
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