http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081030-00000110-san-soci
10月30日8時1分配信 産経新聞
労働基準監督署の職員が公金を横領した事件が発覚した際、民法の時効を適用せず、早く時効を迎える労働者災害補償保険法を理由に「すでに時効になっている」と厚生労働省が判断し、返還請求しなかったケースが3件(計約4500万円)あることが29日、会計検査院の調べで分かった。公金の回収を事実上放棄したことになり、検査院は労災保険法の時効を適用したのは、不合理だとして、厚労省に民法の時効を適用するよう求めた。
厚労省は今年1月に会計検査院の指摘を受けて、3月、大阪南労基署で起きた約1300万円の横領事件の被害額を全額、民法を適用して、元職員に対し、時効ぎりぎりで返還請求した。
検査院が指摘するまで返還請求措置がとられていなかったのは、3件で計約7000万円の被害があった横領事件。
平成13年7月に発覚した長崎県の厳原労基署職員による横領事件では、平成7年5月〜13年6月まで約800万円が横領され、うち約200万円が国庫に返還されなかった。
14年に発覚した大阪府羽曳野労基署職員のケースでは、昭和63年11月から堺、岸和田、淀川などの労基署を異動する間に計約4900万円を横領、約3000万円が返還されていなかった。
17年3月に発覚した大阪南労基署職員のケースでは、13年3〜6月に横領された障害一時金など計約1300万円の全額返還請求がとられていなかった。
民法では不正に取得した公金を国庫に返還請求する際の時効は「被害者が損害及び加害者を知ってから3年」。一方、労災保険法と関連法では時効は「2年を経過した場合」とされている。
長崎、大阪のいずれのケースも発覚後すぐに返還請求をすればよかったのに、労災保険法を適用したため、発覚時点ですでに時効と判断し、返還請求をしなかった。大阪南労基署のケースだけは検査院の指摘で民法の時効を適用、返還請求できた。
検査院は民法より労災保険法を優先させた厚労省の措置は、理由がないとして、民法を適用するよう求めた。厚労省の労働基準局労災管理課は「特別法に時効の規定があったので適用した」と話している。
社会保険労務士試験では、なぜか時効に関しては労災保険法のところでよく出題されます。私も勉強会のサポーターをしていた時はよく労災保険法は時効に注意しろと言ったものです。実は今年も労災保険法では1題+1肢の合計6肢が時効の出題でした。
この10年を見ても出題されなかったのは平成12年、17年、19年の3回だけで、逆に丸ごと1題出題されたのが、平成13年、14年、16年、18年、20年の5回もあります。
ところで、厚生労働省は不正に取得した公金を国庫に返還請求する際の時効3年を適用しなかったということはこのような認識を持っていなかったということなのでしょうね。
労災保険法の時効ですが、第42条にこう書かれています。
療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び2次健康診断等給付を受ける権利は、2年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、5年を経過したときは、時効によつて消滅する。
ここの2年を適用するかといった感じです。しかしこうなったら無理やりこのお金は障害や遺族給付に使うものだとみなして5年前のものまで請求してはいかがでしょうか?
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