我が家の近所の駐車塲に於いて、週末になると何時間もアイドリングを續ける阿保がいる。
ボンネットを開けてエンジンの調子をみている譯でも、車内の清掃や側の洗車をする譯でもなく、ただ空がけをして車内に籠もっているのである。アイドリング魔だ。
エンジンをかけて數分もすると、排ガスが我が家の方へ漂って來る爲、大變迷惑を被っている。特に窓を開ける季節は最惡だ。
この土曜日、夜に歸宅する際、その駐車塲の前を通ると、阿保の車のルームランプが點いていた。しかし、車内に阿保はおらず。
夜は更け、日付が變わる頃に、集積所へゴミを出す爲に駐車塲の前を通ったのだが、やはりランプは點いたままだ。阿保は消し忘れたのだろう...
そして日曜日の夕方、買い物へ出かけようと駐車塲の前を通ると、ボンネットを開けて困り顏をしている阿保がいた。
“壹丁上がり”である。いい氣味だ。
周りの迷惑を顧みず、全く意味の分からないアイドリングを續けていた阿保。エンジンが故障し、それが出來なくなった譯ではないのだが、良いお灸になったと思いたい。

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