菩提寺脇田山安養寺では毎年秋の恒例行事として経木流し供養がある。行き先は、岡山を中心に時計回りに南西北東と変えて営まれている。
私が寺総代を仰せつかった平成18年には高知・琴ケ浜、以後同19年広島・生口島、同20年島根・弓ケ浜、同21年兵庫・應聖寺、そして今年は香川・小豆島と会場を移している。
“晴れの国”どおり雲ひとつない秋晴れの16日、賢信住職夫妻と賢明副住職を先達に、檀家55人はバス2台に分乗して小豆島へと向かった。
一行は真っ先に小豆島南海岸にあるヘルシービーチを目指した。はるか対岸には香川・高松の屋島やそれに続く五険山の稜線がまるで弘法大師の寝姿のように広がる。
砂浜には総代の手によってコンパクト祭壇がしつらえられ、ねんごろなる塔婆供養を行なった。本来ならば塔婆(経木)に戒名を記して川や海に流すところだが、環境美化(保護)のため、砂場に穴を掘って塔婆を燃やし、その炎に願いを委ねた。

新岡山港にて

フェリーの窓から眺める小豆島

ヘルシービーチにて塔婆供養

対岸には左から五険山の稜線と屋島(長い顔の弘法大師の寝姿)
メーンイベントを済ませた後は、小豆島観光のハイライトともいえる寒霞渓での紅葉狩り。寒霞渓の麓にある紅雲亭と山頂間(917m)を結ぶ寒霞渓ロープウェイは繁忙期とあって1時間待ち。それでも待った甲斐があり、「表十二景裏八景」からなる切り立った深い谷間をすり抜けるように通る5分間の空中紅葉狩りはスリル満点の絶景であった。

寒霞渓山頂から瀬戸内海を望む

ロープウェイ乗り場からの眺望

ロープウェイからの空中紅葉狩り

ロープウェイからの空中紅葉狩り
小豆島とくれば通り過ごせないのがオリーブ公園。エーゲ海を思わせる瀬戸内海の青とオリーブの緑のコントラストがひときわ美しい。「平和の象徴」ともされるオリーブは地中海地方が原産とされ、小豆島に初めてオリーブがやってきたのは明治41年で、その原木も拝見した。

エーゲ海を思わせる瀬戸内海とオリーブ園

1908年(明治41年)小豆島に初めて導入された原木

一見美味しそうな完熟オリーブの実(実はとても渋い)
今回の旅の土産は2つある。一つは、車中でメンバーの一人A木さんが認めた水彩画を絵葉書にして全員に2枚ずつ(それぞれ違う絵)頂いた。彼女が長年にわたり描き溜めたものである。
もう一つは、小豆島は近世まで備前国(津山藩)に属していたということで、歴史に疎い小生は恥ずかしながら初めて知った。

A木さんが描いた「野ばら」

A木さんが描いた「ほうずき」

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