2006/10/31

路地裏の少年  OZAKI

1994年。
親元を離れ、将来への不安と期待。
時間だけが無駄にありながらも、あせっていた。
「この時間は、限られているんだ」
理解していたから、寝る時間が惜しくてたまらなかった。

学校でしっかり勉強し、バイトして、しっかり夜中まで遊んだ。
そんな時、偶然に見つけたラーメン屋があった。
表参道から少し入った小さいお店。「ばさらか」

じゃんがらラーメンのブームの傍で、
こっちの方が旨いと純粋に思った。
友達連れて、何度も通った。
新宿から歩いてでも。

店員さんは若い人で、スチャダラパーのボーズに似ていた。
自分の周りでは、「似ているよな?」「本人じゃねえのか」
とコソコソしていたけど、
別のお客さんが「似てますよね」と話しかけると、
「良く言われるんですよ」
と答えているのを聞いて、なぜか安心した。

確か、小泉今日子の色紙が貼ってあって、
日付が前日だったのを見て、友達と残念がった記憶がある。

あれから12年。
あんなに通っていた「ばさらか」へも足が遠のいていた。
でも、どこがおいしい?と聞かれれば、
「原宿のばさらか」と答えていた。
「まだあるか分からないけど」と付け加えて。

週末、渋谷でラーメンでもという話になり、
せっかくだから、原宿まで歩いて行ってみようと。

その道すがら、「ボーズ似の人がいてさぁ」と懐かしがりながら
明治通りを歩いた。

ウェンディーズの横。
「ばさらか」は存在していた。
行列とともに、進化していた。

「元祖原宿ばさらか1994」

1階にあったはずが、赤いお店の2階にあり、
店内にはジャズが流れているではないか。

席について、ふっと店員さんを見ると、
ボーズ似だった、あの人が働いていた。
髪型も変わり、一見分からなかったけど、
たまに見せる笑顔は、あの人だ。
思わず、以前のように声をかけそうになった。

ラーメンの味は、以前とまったく変わらない美味しさで、
食べながら、胸が詰まった。泣きそうになった。
この人は、あれからずっとこの場所でラーメンを作っていたんだと。
たまらなく、カッコ良かった。

俺はあれから、どれだけ成長したというのか。
友達とダベりながら食べていたこのラーメン。

自分も負けないで働こうと思った。

ただ、それだけの話。
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