2008/7/26

埼玉近美/担当学芸員ギャラリートーク  館外展・関連企画

埼玉県立近代美術館で午後3時から行われた「丸木スマ展」のギャラリー・トークに行きました。
今回の企画の担当学芸員Oさんによるトークです。

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参加者は約30人から多いときで50人ほど。
Oさんは、「山里の息吹」、「季節はめぐる」、「花ひらく」、「大地のめぐみ」……という具合に順を追って展示室をまわりながら、スマの主要な作品や3人の若手アーティストの出品作について、企画者としての立場から興味深い説明をして下さいました。

本物らしく見せる技巧より、スマは自分にとって現実感のある世界を描くことが大切だったこと。
スマは絵がフィクションだと最初から理解し、大胆な色使いで画面全体を生かしていること。
描く対象は自分の好きなものが多いが、思い出して描くのでなく、必ず写生し、観察と経験に基づいて描いていること。
とりわけ、トークの最後にして下さった企画にまつわる話は、強く心に残りました。

   *   *   *

丸木スマは、74歳頃から81歳で亡くなるまでの7年間に集中して絵を描きました。
その短期間に、もちろん絵は上達しているのですが、ほかの多くの画家のように試行錯誤の末に自身のスタイルを完成させたとは言えません。
いわば、絵を描きはじめてからグイグイと上り坂を登っている状態で道半ばにして亡くなった「未完成の画家」であるため、評価をためらう人もいます。
しかし、スマの絵を見ると、多くの人は理屈抜きで顔をほころばせます。
誰でも持っている自分の世界を、好きなように表現していいんだ、と励まされます。
もちろん、誰もがスマのような絵を描けるわけではなく、むしろ、われわれには教育による先入観があるため、真に自由に描くのは難しいかも知れません。
しかし、少なくとも、人間にはこうした可能性が潜んでいると示すことが、今の時代を生きる人を勇気づけるのではないかと思って、展覧会を企画しました。

(岡村のメモより、内容要約)

   *   *   *

スマについては、丸木美術館が多くの作品を所蔵していることもあって、説明をしたり文章を書いたりする機会が多くあります。しかし、他館の学芸員の方がスマについて語るのを聞く機会はめったになく、今回はとても参考になりました。

25日時点で「丸木スマ展」の来場者数は約5,000人とのこと。
会場では絵を見ながら談笑している人の姿も見られ、図録も順調に売れているようです。
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