2016/11/3

『ベオグラード日誌』の山崎佳代子さん来館  来客・取材

『ベオグラード日誌』(書肆山田、2014年)で第66回読売文学賞を受賞された詩人の山崎佳代子さんが、丸木美術館に来館して下さいました。

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ベオグラード在住の山崎さんは、旧ユーゴの紛争も間近に体験されており、《原爆の図》に関心を持って、来日の機会にわざわざ訪ねて下さったのです。
館内をじっくりと時間をかけて絵を見てまわり、その後、あふれるように感想を話して下さいました。
その感想からは、作品の持つ表現の深さ、テーマの普遍性に、強く反応されていることが伝わってきました。

『ベオグラード日誌』は、異国に生きる詩人の、一見ささやかな日常の記録。しかし、そのあちこちに、世界の軋み、不穏な気配がひそんでいます。

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 英語、独語、仏語、露語などの「大きな言語」という大窓から、世界を観るだけでは見えないことが数えきれないほどある。セルビア語をはじめとした「小さな言語」の小窓から眺めやれば、世界は思いがけない表情を見せる。人の心の底を見つめるときも、同じだろう。多くの人々がニューヨークの9月11日やフクシマの3月11日を記憶する。だが、記憶に刻まれるべき日付は無数にある。コソボ、イラン、イラクをはじめ、記憶されないだけではなく語ることさえ許されぬ悲劇の日付が、次々と世界史に書き込まれていく。

 しかし国や言葉を越えて、心を開き合える仲間に巡り合うことは、なんという喜びだろうか。人と人との巡り合い、繋がりこそが、眼に見えない小さい力、しかし、それだからこそ内なる世界を少しずつ変える力となるのではないだろうか。この小さい力さえあれば、様々な土地の歴史に刻まれた記憶の豊かさに触れ、命の重さの等しさを感じとり、自然の力の深さを確かめ合うことができる。生活というささやかな営みに潜む、無数の小さな力が結び合うとき、何かを変えることができる。


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