2015/12/19

【米国出張@】ブルックリン歴史探訪  調査・旅行・出張

「原爆の図」ニューヨーク展の撤去のため、昨日から今年最後の米国出張に来ています。
今回はブルックリンの下町にあるホテルに滞在。
ブルックリンという響きが自分にとって特別なのは、ロサンゼルス移転前のドジャースのホームタウンだったから。
当時のブルックリンには路面電車が数多く走っていて、住民がトロリー・ドジャース(路面電車を避ける人たち)と呼ばれていたことから「ドジャース」という愛称が生まれたのです。

昨夜のパーティで、「ヒバクシャ・ストーリーズ」の主宰者であるキャサリンの夫のブレイズから、プロスペクト公園の東にドジャースの本拠地エベッツ・フィールドの跡地があると聞き、朝早く起きて訪ねてみました。

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1958年の球団移転後に建てられ、現在は老朽化しつつある高層住宅に、エベッツ・フィールドの名が残っていました。

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高層住宅の敷地内を歩いてみると、“THIS IS THE FORMER SITE OF EBBETS FIELD”と小さく刻まれたプレートも見つけました。1962というのは、プレートを設置した年という意味でしょうか。

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高層住宅のすぐ向かいには、有色人種にメジャーリーグの扉を開いた偉大な選手ジャッキー・ロビンソンの名を冠した学校もあります。

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校舎の壁には、ジャッキー・ロビンソンとエベッツ・フィールドが描かれていました。
攻守走三拍子そろった若き内野手として、ニグロリーグから1947年にメジャーデビューした彼は、その年から制定された新人王に選出され、1949年には首位打者と盗塁王を獲得してMVPにも選ばれます。彼の背番号42は、現在、すべてのチームの永久欠番になっています。

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学校の隣には、やはり彼の名のついた小さな公園もありました。

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公園からは、野球場の跡地の高層住宅がよく見えますが、ジャッキー・ロビンソンを顕彰する特別なモニュメントや、野球に関する遊具があるわけではありません。

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しばらく周辺を歩いているうちに、近所の駐車場にもエベッツ・フィールドが描かれた壁画を見つけました。
今もブルックリンの市民に愛され続けているという証なのでしょうか。

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壁画に描かれている1955年は、ブルックリン・ドジャースが唯一ワールドチャンピオンになった年です。ワールドシリーズでは、それまで3度敗れていた宿敵ニューヨーク・ヤンキースを4勝3敗の激闘の末に下しました。
いつも後一歩のところで敗退し、“Wait 'til next year”が合言葉だったブルックリンに、ようやく“This is Next Year!”という歓びの瞬間が訪れたのです。
チャンピオンズリング(優勝の記念指輪)も描かれていますね。

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壁画には、ジャッキー・ロビンソンはもちろん、その年打点王に輝いた左打ちの強打者デューク・スナイダーや、MVPに選ばれた名捕手ロイ・キャンパネラの雄姿も見られます。
ブルックリン橋がデザインされたチームロゴ。ドジャーブルーは労働者(ブルーカラー)の街ブルックリンの象徴です。

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しかし、栄光のワールドチャンピオンからわずか3年、スタジアムの老朽化と球団の経営難に悩むウォルター・オマリー会長は、ロサンゼルス移転を決意します。

その非情な決断に ブルックリン市民は涙したといわれますが、結果的に西海岸という新たなマーケットを開いた移転は大成功となったのです(近年の日本ハムファイターズの北海道移転も、ドジャースの影響が及んでいるでしょう)。

当時の社会的背景は、立教大学の南修平氏の論文「ブルックリン・ドジャースを探してー労働民衆史から捉えたブルックリン・ドジャースとその移転」に詳しく紹介されています。

南北戦争の時代に開かれ、太平洋戦争期に造船業で繁栄した港湾労働者の街ブルックリンは、1950年代後半、核エネルギーの台頭と合理化の波の中で、変化の時を迎えていたのです。

長らく時代に取り残されたまま、荒廃していたブルックリン。
そのレッドフック地区の赤煉瓦倉庫のひとつに、21世紀になって若者たちが目をつけました。

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アーティストのスタジオや科学者の研究室、そしてギャラリーの複合施設として再び命を吹き込まれた実験的なスペース、すなわちパイオニア・ワークスに、今、《原爆の図》が展示されているのです。
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