2014/8/15

映画『GODZILLA ゴジラ』と秋の企画展  企画展

映画『GODZILLA ゴジラ』を観ました。
前回のハリウッド版とは違い、造形的には1954年の初代ゴジラへの敬意が感じられる重量感のあるゴジラで(それでも、首から上の造形にはやはり多少の違和感があったのですが)、かなり見応えはありました。

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もっとも、1950年代に頻繁に行われていた水爆実験は、実はゴジラを撃退するための「攻撃」だったというあまりにひどい正当化には、いかに米国制作の映画とはいえ、がっかりしました。

また、初代のように人類の文明に対する脅威として立ちはだかるのではなく、むしろムートーという新怪獣を撃退する、都合の良い「救世主」の存在になってしまっている点も、残念でした(商業化された日本における後期ゴジラの流れですね)。

初代ゴジラから「芹沢博士」の名を引用している渡辺謙扮する日本人科学者も、とってつけたように父親が広島で被爆死したという設定で、8時15分で止まってしまった形見の時計を持っているものの、ストーリーにあまり生かされていませんでした。

ゴジラの見せ方や放射熱線の迫力などはさすがと思わせる表現だったので、初代『ゴジラ』が抱えていた歴史観や哲学の重み、核に対する想像力も、しっかり継承して欲しいと思ったりもしました。

   *   *   *

さて、丸木美術館では、9月13日より、「ビキニ事件60年展 第五福竜丸→ゴジラ 1954→2014」展を開催いたします。
現在、展覧会の開催に向けて、準備を進めているところです。

この展覧会は、第五福竜丸やゴジラを直接扱うものではありません。
ビキニ事件から60年という節目の年に、第五福竜丸やゴジラから派生して現在まで続いている、核の脅威に対する想像力を展示するものです。

世界的に広がる反核運動の契機となったビキニ事件ですが、60年という歳月が経過した現在、思うことは、核は廃絶に向かうどころか、抑止力、エネルギー利用という名目で、むしろ私たちの日常に浸透し、世界じゅうを覆いつくしてしまったという現実です。

そうした現実に対し、私たち人間の想像力は、どのように迫ることができるのか。
3つの章に分かれた芸術表現から、隠されてしまった核の脅威への想像力を取り戻す。
今回の展覧会は、そんな挑戦的な試みです。

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 2014年は、太平洋ビキニ環礁における米軍の水爆実験によって、日本のマグロ漁船・第五福竜丸が被ばくしてから60年という節目の年に当たります。
 1954年3月1日未明、マーシャル諸島近海で操業中だった第五福竜丸は、米軍の水爆実験キャッスル作戦(ブラボー実験)に遭遇しました。降り注いだ放射性降下物「死の灰」を浴びた23名の乗組員は全員被ばくし、半年後の9月23日には、当時40歳だった無線長の久保山愛吉が死去。核実験による放射能汚染は広域に及び、多くの住民が居住していたロンゲラップ環礁に深刻な被害をもたらし、第五福竜丸以外にも1000隻近い漁船が被ばくしました。
 この事件をきっかけに、東京・杉並の主婦からはじまったと言われる原水爆反対の署名運動は全国に広がり、翌1955年8月には、広島で第1回原水爆禁止世界大会が開かれました。また、ビキニ事件を受けて制作された映画『ゴジラ』は“水爆大怪獣映画”と銘打たれ、社会に大きな反響をもたらしました。
 ゴジラは米軍の水爆実験によって突然変異して目覚め、日本を襲撃するという設定で、可視化された核の象徴と見ることもできます。

 今展は、2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故を経た私たちの現在と未来が、60年前の被ばく事件とどのように接続していくのか、3つの章に分けて展示された芸術作品によって、想像力を拡げる試みです。
 原水爆禁止世界大会のポスターをはじめ、核や戦争に対峙する問題意識をテーマにしたデザインを数多く手がけたグラフィック・デザイナー粟津潔の仕事。
 今も精力的に原爆や第五福竜丸、福島原発事故など核被害の歴史を主題にした作品を描き続ける画家・イラストレーターの黒田征太郎が《原爆の図》に触発されて描き下ろした新作絵画群。
 そして1954年の映画のゴジラを「大きいゴジラ」、2011年3月の東日本大震災・福島原発事故で生まれたゴジラを「小さいゴジラ」と設定することで、ゴジラを現実につながる想像力として捉えた画家・長沢秀之のディレクションによる展示「大きいゴジラ、小さいゴジラ」。
 それぞれの想像力の連鎖によって、目に見えない核の脅威に、2014年という地点からどのように迫ることができるのか。
 この物語は、今も私たちの日常につながり、続いているのです。

【会期中の主な企画】 
●9月13日(土)午後2時 オープニングトーク「想像力としてのゴジラの復活」
 出演:長沢秀之(画家)+岡村幸宣(原爆の図 丸木美術館学芸員)
 参加費 500円(入館料別途)
 交通は市内循環バスをご利用ください。

●10月13日(月/祝)午後2時 黒田征太郎(画家)トークペインティング
 参加費 500円(入館料別途)
 当日は午後1時に東武東上線森林公園駅南口に送迎者が出ます。

●10月18日(土)午後2時 粟津潔 MEETS 秩父前衛派
 演奏:秩父前衛派=笹久保伸(ギター)、青木大輔(サンポーニャ)、イルマ・オスノ(歌)、トーク:粟津ケン(KEN主宰)
 参加費 1500円(入館料別途)
 交通は市内循環バスをご利用ください。

●11月2日(日)午後2時 特別講演「やわらかい はだ ―― 原爆の図は本当に原爆を描いたのか」
 出演:アーサー・ビナード(詩人)
 参加費 500円(入館料別途)
 当日は午後1時に東武東上線森林公園駅南口に送迎車が出ます。
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