2014/4/19

宮良瑛子展オープニングトーク  企画展

いよいよ「宮良瑛子展 沖縄―愛と平和と―」が開幕しました。
午前中から大勢の来館者が丸木美術館に足を運んで下さり、地元ケーブルTV局のインタビューをはじめ、琉球新報、沖縄タイムス、東京新聞、毎日新聞、埼玉新聞など各社の記者も来場して下さいました。

おかげで宮良さんはオープニングトークの前に「もう疲れたよ……」と仰っていましたが、午後2時からの豊見山愛さん(沖縄県立博物館・美術館主任学芸員)とのトークでは、たいへん元気な笑顔を見せて下さいました。

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かつて宮良さんの主宰する絵画教室に通い、もう30年近いおつきあいになるという豊見山さんは、宮良さんのことを「戦争や社会の現実に向き合う沖縄では稀有な画家」と評価されています。
トークのなかでも、男尊女卑の風潮の強かった沖縄で何度も辛辣な評価を受けながら、それらの声への憤りをエネルギーに変えてきた宮良さんの情熱について言及されていたのが、とても印象的でした。

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会場は80名を超える大盛況。東京周辺はもちろん、沖縄から、福島から、関西からもこの日のために訪れて下さった方々がいらっしゃって、本当に素晴らしいオープニングとなりました。

   *   *   *

今回の展覧会の会場風景を簡単にご紹介しましょう。
第1室は、「復帰」前年に沖縄へ移り住んだ宮良さんが、もっとも心を惹かれたという沖縄のたくましい女性たち「アンマー」の姿を主題にした作品を中心に展示しています。

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《市の女たち》(上写真左)などの生き生きとした女性像は、沖縄の女性たちへの作者の共感のまなざしとともに、沖縄で女流美術展や平和美術展を立ち上げ、今日まで闘い続けてきた宮良さん自身の姿も投影されているように感じられます。

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色鮮やかな南の楽園、沖縄のイメージを堪能できる展示室です。
続いて第2室の正面には、チラシやポスターなどにも掲載している《美ら島・辺野古》が展示されています。

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力強い群像図の背景には、美しい海とガジュマルの樹が描かれていますが、題名が示す通り、この絵は、美しい環境を破壊する辺野古への米軍基地移設に抗する思いから生まれています。

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別の壁面には、長崎の原爆投下を主題にしたヒマワリの絵を中心に、2011年3月11日の東京電力福島第一原発事故を主題にした新作が2点ならべられています。
長崎、福島、沖縄。時間も場所も異なる出来事の根底にある共通の問題とは何かを暗示する空間です。

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そして、メインの大展示室は、沖縄、中東、朝鮮半島など、各地でさまざまな矛盾の犠牲になる女性たちの姿を中心に、非常に見応えのある大作が並んでいます。

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沖縄という土地に根を下ろしながら、宮良さんが(沖縄だけの問題にとどまらず)どのように世界を見据えて想像力を拡げ、描き続けてきたのか。
今回の展覧会は、常設展示である《原爆の図》をはじめとする丸木夫妻の画業との対比という意味でも、興味深いものがあります。

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三連作の大作は、祭壇画のようにも見えます。
そのことを宮良さんにお伝えすると、「特に意識したわけではないのよ。でも、祭壇画のようだと、今までも何度も言われました」と仰っていました。
戦争を主題にした作品の群像図には、多くの場合、女性の後ろに影のように寄り添うたくましい男性の姿が描かれています。それは、男性が女性や子どもを傷つけるのでなく、守る存在であってほしい、という宮良さんの願いのあらわれだそうです。

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会場の中央には、宮良さんが1994年に手がけたブロンズ彫刻《水底のうた ―沖縄県戦時船舶遭難の碑―》(鹿児島県山川町に設置)も展示されています。
宮良さんは、お連れ合いの作さんとともに、米軍に撃沈された遭難船を主題にした絵本『湖南丸と沖縄の少年たち』(1985年、草土社)を手がけています。今回は、2階の小展示室で、それらの絵本原画も展示しています。

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奇しくもこの日、沖縄の与那国島では、陸上自衛隊駐屯地の起工式が行われました。
関係悪化の進む東アジア情勢の中で、またしても沖縄が危険にさらされつつある現在、この「宮良瑛子展」は、本土に生きる私たちにとって、重要な意味を持つのではないでしょうか。
私自身、会期中に宮良さんの作品を見つめながら、その画業について考えを深めていきたいと思っています。
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