2014/1/25

ギャラリーヒルゲート「夜話市民講座」  講演・発表

福山から新幹線で移動して、夜は京都寺町のギャラリーヒルゲートで「夜話市民講座」。

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画廊主の人見ジュン子さんにお呼び頂いて、「核を描いた表現者たち−丸木夫妻をはじめとして−」と題する、1時間ほどのスライド&トークを行いました。

嬉しかったのは、奈良から、昨年丸木美術館の企画展でお世話になった彫刻家の安藤栄作さんと長谷川浩子さんのご夫妻が駆けつけてくださったこと。

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写真は右から安藤さん、岡村、長谷川さん、彫刻家のノブコ・ウエダさんです。
この日は他にも、芸術や社会問題に関心を持つ幅広い分野の方々が、人見さんのお声掛けで集まってくださいました。
京都の画廊でトークを行うのははじめてのことだったのですが、たくさんの質問や感想をいただき、とても気持ちよく話すことができました。

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トークの後は、近くのお店で打ち上げ会。
そこでは、ギャラリーヒルゲートのなりたちを、人見さんからお聞きすることができました。
もとは神戸で輸入雑貨店を営んでいた人見さんのお父さまが戦災で京都に移り住み、いまの寺町の店舗でゴルフ用品の販売店をされていたそうなのですが、作家の水上勉さんの誘いで、画廊をはじめたのが1988年のこと。

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ギャラリーヒルゲートの看板は、水上勉さんの筆によるものです。
もちろん画廊業はまったくの素人でしたが、開廊後最初の展覧会には水上さんが作品を提供して下さって、画廊を軌道に乗せてくださったそうです。

はじめ人見さんは市役所にお勤めで、講演会でお呼びした縁で水上さんと出会い、また、1984年7月12日から22日にかけて京都市美術館で丸木夫妻の「原爆の図展」が開催されていたこともあって、丸木夫妻も1989年12月9日〜17日の「ヨーロッパを描く」展以後、毎年年末にヒルゲートで展覧会を開催することが恒例となっていきました。

印象深かったのは、絵本画家の安野光雅さんとの出会いについての話。
そのきっかけは、丸木夫妻だったというのです。
人見さんは安野さんに展覧会を開いて頂きたいと思いながらも、簡単な話ではないだろうと思い、ずっと展覧会の案内状を送り続けていたそうです。
すると、あるとき安野さんから、「私は丸木俊さんの絵本をとても尊敬しています。あなたの画廊の案内状を見ていると、毎年、丸木夫妻の展覧会をされているようですね。そんな画廊なら、私も展覧会をやってみたい」というお返事が来たのだそうです。

安野さんは、彫刻家の佐藤忠良さんとの対談録『ねがいは「普通」』(2002年、文化出版局)の中で、次のように丸木俊さんについて語っています。

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安野 あのころ(注:佐藤忠良さんが絵本『おおきなかぶ』を出版した頃)僕はこの佐藤先生と旧姓は赤松、結婚して丸木俊さんの絵にはかなわないなあと思っていましたね。絵本の中にしっかりしたデッサン力がそのまま移行して住んでいるんです。ただただ絵が上手、なんてものではダメなんですね。

佐藤 赤松さんは札幌の道立女学校の一期生ですね(注:実際は1929年3月に旭川高等女学校を卒業)。あの原爆絵図、あれは世界に誇る日本の芸術ですよ。

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こうした安野さんの思いが、ギャラリーヒルゲートとの出会いにつながっていることを知り、とても嬉しく思いました。

現在、ギャラリーヒルゲートでは、画廊と縁の深い作家たちの小品展「折々の作家たち」展(1月26日まで)を開催中。丸木夫妻や安野光雅さんをはじめ、田島征三、田島征彦、司修、野見山暁治など、展示作家の名前を見ていくと、この画廊独自の視点が見えてきます。
社会に対して視線を開く志を持った芸術家に寄り添っていこうという姿勢です。

京都は非常に画廊の多い街なのですが、ギャラリーヒルゲートのような姿勢を打ち出している画廊は、他にあまりないそうです。
ちょうど1月23日付『京都新聞』文化欄には、私がお招き頂いた「夜話市民講座」についての記事が掲載されていました。
以下、ギャラリーヒルゲートに関する個所を抜粋いたします。

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 中京区のギャラリー「ヒルゲート」は11年に「夜話市民講座」を開講した。これまでにアートディレクターの北川フラムさん、画家の司修さん、京都市美術館学芸課長の尾崎真人さんらを講師に招き、参加者たちが現代の美術事情や歴史について学んだ。

 同ギャラリーを営んで26年目になる人見ジュン子さんは、バブル景気やリーマン・ショック、デフレ不況など時代の変化をつぶさに見てきた。「売れる、売れないだけでは、ストレスで疲れてしまう。人と新たに出会い、その人の生き方も含めて自分の知らないことを学ぶ。それが現代人の心の滋養になると思います」


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こうした地道で重要な仕事を続けている画廊にお招き頂いたことを、心から嬉しく思います。
人見さんはじめ、お世話になったギャラリーヒルゲートのスタッフの皆さま、本当にありがとうございました。
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