2013/4/29

安藤栄作+落合恵子トークイベント  企画展

午後2時より、企画展の関連イベントとして、彫刻家の安藤栄作さんと作家の落合恵子さんの対談が行われました。

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今回の企画展では、落合さんの主宰するクレヨンハウスから刊行された(といっても一般書店での販売は5月8日から、丸木美術館で先行販売中)安藤さんの初の絵本『あくしゅだ』の原画を展示しています。

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対談は、そのきっかけとなった安藤さんの“「3.11」を超える作家たちへ”という文章の話題からはじまりました。
福島県いわき市の家を津波と火災で失った安藤さんがネット上に発表したこの文章を、落合さんが知り、ご自身のブログに紹介されたのが昨年3月のこと。
それから、クレヨンハウスの絵本出版の話が立ち上がっていったのです。

「3.11という出来事のなかで、人は追いつめられると自分のことより人のことを考えるようになる。そのおかげで今の自分たちがある。そのことを世界じゅうに伝えたいけれども、話そうとすると涙が出てしまってダメなんですよ」
そんな思いを訥々と語る安藤さん。
「私は東京で暮らして福島の電気を使ってきました。スリーマイルの原発事故から、チェルノブイリを経て、いろんな学習会やデモや集会を続けてきたつもりたったのに、福島の事故が起きたとき、どこかで緩んでいた自分を突きつけられた」
そう、厳しく内省する落合さん。
「3.11後、自分をどう位置づけていいのか、どんな影響を受けたのかがわからない。言葉にした瞬間にずれてしまう。原発事故は何ひとつ収束していないし、私たちひとりひとりの心も収束していない」という二人の会話に、会場には頷く方も多くいらっしゃいました。

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1時間半に及ぶトークは、お話の巧みなお二人の対談とあって、惹き込まれるように進み、内容も多岐にわたりましたが、とりわけ記憶に残ったのは次のような会話でした。

ひとつは、自由についての会話。
安藤さん 3.11後に、日本中で原発反対の声が上がっていなければ、原発はとっくに動いていたはずですよね。官邸前のデモに参加し、交差点のまんなかでジャンベ(アフリカの太鼓)を叩きながら自分の意志を叫ぶとき、こんなに解放される、自由があるのかと感じたんですよ。逆に警察や政治家は、不自由な立場だなと思いました。
落合さん 詩人の堀場清子さんは、「一憶総懺悔」を繰り返してはならない、と記しています。私たちは自分をそうした縛りから解放してあげよう、自由にしてあげよう。そうすると、爽快な気持ちになって、世界の見え方が変わってくる。

そしてもうひとつは、ジェンダーについての会話。
落合さん 大きな差別構造を変えていくためには、個人の内なる差別構造を変えていかなければならない。たとえば、性の違いにも差別の構造がありますよね。男女の支配と被支配の構造があまりにも長かった。
安藤さん 原発は男性的思考回路に社会が偏ってきた結果できたものだと思う。今の社会は限界がきているんですよ。山登りや潜水の世界的な達人と呼ばれる人たちは、中性的なたたずまいに見える。個人のなかに、男性性と女性性が調和している状態がいいですよね。
落合さん それぞれの個人が、かつて「男性性」、「女性性」と呼ばれていたものをあわせ持つ、ある意味では両性具有的な存在ですね。今、原発的社会を変えようとしている人たちのなかにも、子どもを持つことによって母性に気づいた男性や、会社組織からリタイヤした男性が多いんですよ、。
安藤さん 今まで話したことが、全部「光のさなぎ」や絵本の『あくしゅだ』につながっているんです……。

トークの終盤には、私もお二人の会話に参加させて頂き、丸木美術館という場所の持つ意味、そして安藤さんの展覧会が開催できたことのよろこびなどを話しました。
大きな企業や行政の援助ではなく、ひとりひとりの市民によって支えられてるこの美術館が、今の世界のなかで、本当は大きな意味を持っているということ。
「貧乏である(経済的に余裕がない)」という点は、クレヨンハウスも安藤さんも同じ。自分を売らないから貧乏なのだけど、本当は、こうした仕事をしている人たちがお金持ちになるような社会が来たとき、この国の文化は大きく変わるのではないか、という落合さんの言葉に、会場は大いに湧いていました。

最後は、クレヨンハウスで販売している被災地の応援歌「空より高く」が流れ、非常に心に沁みる締めくくりとなりました。

   *   *   *

トークの後は、展覧会場で安藤さんと落合さんを囲んで、クレヨンハウスのスタッフや、安藤さんのお友だち、「デモ友」たちと記念撮影。

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絵本『あくしゅだ』もたいへんよく売れて、非常に充実した一日となりました。
安藤さん、落合さんはじめ、大勢で駆けつけて下さったクレヨンハウスの皆さま、そしてご来場いただいた皆さまに、心より御礼を申し上げます。
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